大きなアーケードの商店街があって、銭湯があって、観音様もあって、弘明寺にはなんでもあるんだなと思った。
「ぐみょうじ」の読みには、潰してから捻った語感がある。
横浜市営地下鉄の弘明寺駅から歩いて3分、中島館は黒湯の温泉と水風呂がある銭湯だった。
事前にここは治安が…というレビューを見た。
しかしサウナの上段に座り、下段に並んで下段の高さに合わせて設置されたテレビを眺めながら揃って玉の汗をかいている常連さんたちを見ると、こんなに穏やかな空間もないんじゃないかと思った。
大きいタオルが2枚、小さいのが1枚、石鹸、シャンプー、リンスが付いたサウナ手ぶらセットは950円だった。
見たものだけを信じるというのは横柄だけど、それは時と場合と事による。
穏やかな中島館が記憶に残ったから、俺はまた弘明寺にやってくる。
こうしてさ、のんびりした日記で終わってもいいんだけどさ。
この日は予想外に半日、自分の時間を手に入れて、正気に戻ったらしんどくなった。
正気になるとしんどいって、こんなので生きているなんていってもいいのかね。
「生きている」の対にある概念は「生きていない」なので、そこに当てはまっている可能性は高い。
仕事、研究、家庭、その他。
今となれば、空っぽの人間が無い袖を振り回していただけの、見苦しい一年間だった。
どうせどう生きたって俺は見苦しいんだけど。
そんなふうに今年を振り返ろうとしたところで、師走らしくない暖かさに、空気にも冷たい鉄臭さが全然出てこなくて、この調子では冬を求めて13月、14月と2023年は続いていってしまいそうだ。
弘明寺商店街にあった「やきとり まいちゃん」にはまいちゃんらしき人は見当たらなかったけれど、外国人のご主人が適当に放っておいてくれて、それでいてオーダーするとスピーディーに料理を出してくれて、ありがたいお店だった。
以上