『かながわの銭湯』(1998年・かもめ文庫)なる本を読んだ。
読んだというよりも眺めた、と表現するのがふさわしい作りの本だったけど。
この本が出版された当時の、神奈川県にあった銭湯がリストになって網羅されていて(およそ400件!)、さらにそのうち数十件については実踏したルポも書かれている。
例えば横浜の亀遊舘だと、店内の様子とともに、遊郭に由来するその名についても細々と説明が書かれている。
かつては南武線沿いにもたくさんの銭湯があったのだという。
千年温泉とバーデンプレイスがあって、つかさ新城の廃墟がある武蔵新城あたりは今でも頑張っているが、中野島の商店街にも中野島浴場があったと聞くと、つくづく南武線は銭湯ラインだったのだと思う。
調べると21世紀初頭に、数多くの銭湯が姿を消すヤマがあったらしい。
今日の仕事帰りに寄った宿河原浴場は、そのヤマを乗り越えて今日まで生き残った。
宿河原浴場に来たのは今回が2回目。
以前に来た時は「サウナ室が自然に還ろうとしている」なんて訳のわからない感想を書き残していたが、今日はいくらか板が貼り替えられていて、若干文明の気配はあるサウナ室になっていた。
遠赤外線ストーブ、体感はカラカラで100℃超、上下2段に2人ずつのこじんまりサイズ、「この木に水をかけると木が腐ってサウナが営業できなくなります。辞めて下さい(原文ママ)」の注意書き。
ここの水風呂は好き。
バイブラが効いて、稲城の山の向こうのヘルスよしのと瓜二つ。
手足を伸ばせば1人、体育座りでなんとか2人の小さな水風呂だが、なにせサウナもコンパクトなので渋滞にはならない。
すぐそばに飲用の蛇口もある。
月曜定休、サウナ利用は600円、備え付けのシャンプーボディソープはなし。
おそらくコロナの影響で、今は貸しタオルはしていないとの貼り紙があったが、サウナ利用を告げるとオレンジの大きなタオルは出してくれた。
車窓が単調で、いつも混んでいて、今ひとつ愛せないのが南武線だが、それはよそ者だから思うことなのだろう。
南武線はあくまで生活密着路線。
これからも、どこまでも、6両編成で走り続けるに違いない。
どの駅もホーム延ばせるんだったらとっくにやってるだろうしさ。
【宿河原浴場】