身体と精神の寿命

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この写真を撮ってすぐ、一歩後ずさりした瞬間にこけた。

後ろ向きにこけた。

頭は打たなかった。

きれいに受け身を取るなんて、柔道はしたことがないし、下手な野球くらいしかできなかった男には無理なんだけど、尻と背中で緩く着地する感じというか、尻もちを若干背中にも分散する感じというか、そんな感じでなんとかなった。

ただ、車が走ってくるタイミングだったらまずかっただろう。

まさかおっさんが車道へ後ろ向きに倒れてくるなんて、どんな「だろう運転」でも「かもしれない運転」でも対応のしようがないだろう。

そんなに広い道ではなかったけれど、全力でトラックでも突っ込んできていたら首から上を吹っ飛ばされていた可能性はあった。

 

どうせなら、吹っ飛ばされてしまえばよかったのに。

 

そういう感情が、自分の中から自然に湧いてきてしまう。

こけながら中途半端にひねった左足首で歩いていると、余計にそんな感情が高まってくる。

もう嫌になっちゃってるんだよ、もしくは売り切れちゃってるんだよ、俺は。

 

物事を楽しく思える感性も、かつてと比べれば相当に薄まってしまって、だから何もしたくないし誰にも会いたくない。

 

生命力が強い者がいれば、弱い者もいるのだ。

同じ人間の中の成分においても、身体と精神の寿命は異なる。

俺は精神が先に尽きるタイプだった。

売り切れた。

品物のない店を開けているだけの人間にも苦痛はある。

楽しさの感情が薄れていくごとに、苦痛の感情は輪郭を持ってはっきりしてくる感覚がある。

これでも俺はまだ生きているのか、こんなので生きているといえるのか。

畜生めが。

 

以上