(写真と内容はいちおう無関係です)
歓楽街の中にある、〇ープランドと同じ建物に隣り合って営業しているほうとう屋。
限界中年のくせに、直前にシャトレーゼでデザートバイキングなんぞしてしまったものだから、血液まで甘ったるくなった俺は体内を中性に戻すべく、今度はキムチほうとうを食べていた。
ほうとうは山梨に住んでいる頃には食べなかったのに、離れてみるとこの日が射さない土地の栄養食として愛らしく見える。
野菜もたくさん入っているしさ。
食べている途中で、おじさんが綺麗な女の子を連れてくる光景を見た。
これはパパ活の類ではなくて、「この子にご飯、お願い」と店内に声を掛けて、おじさんだけは入口からすぐに引き返していく。
この店は、繁華街で働く女の子にケータリングを提供する役割も果たしているのだ。
お茶を出しながらおばちゃんが、女の子に「どこから来たの?」なんて訊いている。
すると女の子は自分の故郷を答える。
「どこのお店から?」ではないのだ。
どこの暮らしからこの街にやってきたのか、それを尋ねているし答えている。
仕事中の女の子は、この店で重いものは食べない。
そばをオーダーして、「こっちのそば(の出汁)は濃いけど大丈夫?」と言われて、「もう慣れました」と答える。
女の子はつるっとそばを食べて、ニコニコしながら「ごちそうさまでした」と言い残して、今度はひとりで店に戻っていく。
そのかわいらしさに惹かれて、この子はどこの店の子なんだろうと思ってしまったけれど、ここで確認するのはルール違反だろうし、そもそもついていくお金もないしな。
この日はそんな光景を二度見た。
キムチほうとうを食べ切った限界中年は、特急券すらケチって甲府から鈍行でノロノロと帰ったのだった。
以上