国母温泉とシャトレーゼと森のくまさん

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明らかにベンチの木が朽ちていく過程にあって、ストーブが格納式であるがゆえに小さな正方形が強調されているサウナ室。

地下水?冷泉?浴槽の年季が茶色になって表れている点で、この水はただものではないと教えてくれる水風呂。

温度が多彩な温泉が露天にまで広がっていて、お客さんの大多数はサウナを求めてはいないようだった。

サウナの追加料金なんぞもちろん設定されていなくて、入浴料は誰も彼も430円(子どもはもっと安いか)だ。

甲府には喜久乃湯温泉という太宰治ゆかりの銭湯があるのだが、あちらのサウナは後付け感があって案外と新しい。

こちらはおそらく浴室と一緒に、同じだけ歳をとっている。

レトロな内装に心奪われる「国母温泉」

 

こういう銭湯が近くにあればと思っても、入ってみれば田舎でなければ無理だ。

田舎というのは、どちらかといえば 少々馬鹿にするニュアンスで使う言葉だ。

その土地を馬鹿にするのは、その土地に暮らした人間だけに許された特権だ。

俺は4年間だけとはいえ山梨で暮らしたので、これは許してほしいと思う。

今でも山梨が大好きだから。

 

コンパクトシティ」なる言葉が出回りだした頃、栄えるべきは都会だけで、田舎に住む者は足を引っ張る迷惑だという物言いをネット上で見た。

だからそう思わなかった者にだけ、こうして山梨の温泉に浸かる権利がある。

熊が出るぞと騒ぎになったら「そんな土地に住むものが悪い」という物言いが出てきた。

すると東京都町田市にも熊が出たと話題になった。

だいたいの出来事はそういう連鎖で起こっていく。

ほどほどに仕事が遅くなった夜に、多摩境の駅からトボトボと足音を立てながら歩いて森乃彩まで歩くのが好きなのだが、あのあたりも危ないかもしれない。

最後にあんまり痛い思いはしたくない、痛いのは心だけでもう十分に間に合ってる。

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それから山梨に来たら、シャトレーゼのデザートバイキングには気をつけろ。

44歳の体には、途中で「塩気のあるものもおいしいですよ」と差し出してもらった、揚げ餅が一番おいしかった。

最近は餃子の王将に行っても、締めに飲んだ水をなによりうまく感じたりする。

好きだったものが苦手になる時代が近づきつつあるのだろう。

衰えて終わるのと、サウナに向かって歩いているうちに熊さんにやられちゃうのと、どっちで決着するだろうね。

 

以上