会う人会う人、自信がない喋り方をする日だった。
送られてきたメールも、こんがらがった内容ばかりだった。
みんなお盆休みが終わってなんとか動き出した今日だったのだろう。
仕方がないね。
四ツ目通りと仲良くなってきたと思ったら、今度は三ツ目通りが登場してきた。
今日のサウナは大雑把なエリアでいうと、錦糸町よりわずかに両国寄り。
墨田区緑町3丁目の松の湯だった。
「ごゆっくりー↑」と語尾を上げるアクセントで男湯へ見送ってくれるお姉さん。
「マイナス10キロして下さーい(原文ママ)」と書かれた紙が貼られていて、実際に10キロ分だけ余計に針が動く体重計。
旅客機が追突しそうに接近している、浴室の小さなドットで描かれたメルヘン壁画。
咳き込むくらい煙っていたミストサウナ。
誰が入っても自分ひとりのための水風呂。
春からかかりきりだった、先月に査読の結果が返ってきた論文は、査読者以外からもまずまずの評価だった。
「これで首の皮一枚つながったな」との評もあった。
しかし首の皮しかつながっていないのでは、生きた人間とはとてもいえない。
夏が終わると、今後の身の振り方を探る秋がやってくる。
3年前の俺は路上生活者になろうとしていたのを忘れてはいない。
【松の湯】
以上