『月刊サウナ』の連載第5回

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【tower eleven onsen & sauna メモ】

・入浴チケットは事前予約で買える

・当日の飛び込みでも入れる

・現金は取り扱っていない

・基本的に試合のある時間の区分は5000円、それ以外は2500円

・大小タオル付き、水着は1000円でレンタルできる

・お互いに配慮しながら撮影可

・屋根が閉まったら内気浴?

・ちくしょう、TTNE、いい仕事しやがったな

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2台並んだHARVIAのサウナストーブは、きっとダルビッシュ有大谷翔平

 

北海道日本ハムファイターズの本拠地、真新しいエスコンフィールドにできた真新しいサウナ「tower eleven onsen & sauna」に入ってきた。

このサウナは球場内のTOWER11というエリアの一角にあり、名称は日本ハム出身の現役レジェンドふたりが付けていた背番号にちなむのだという。

日本ハムという球団には、成績と年俸が少々見合わない年があるとすぐに選手を放出するイメージがあって、プロ野球ファンからは冷たい面を強調して語られがちであるけれど、こうして本拠地を訪れてみれば、縁のあった選手は大事にする一面もまた持ち合わせているのが伝わってくる。

 

さて、その「tower eleven onsen & sauna」だ。

ここのサウナ室から試合を観ようとすると5000円のチケットが必要だ。

が、試合のない時間帯は半額でグラウンドを見下ろせる。

サウナに関わる有名人たちは、おそらく招待だったのだろう。

この細長くて、上段に座ると野球が観やすいサウナ室での経験を、「サウナから野球を観るなんて初めて」「みんなで盛り上がった」「楽しかったです」「素晴らしかったです」と発信していた。

 

それだけ?

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無名人の俺は、ナイターを前にした半額の時間帯に、もちろん自腹でこのサウナに入った。

芝の生育のために開かれていた屋根が、試合に備えてゆっくりゆっくりと閉まり、グラウンドではおそらく早出の若手選手たちによるバッティング練習が始まった。

ゆったりとしたテンポで、カーン、カーン、カーンと打撃音が響く。

途中で「あれ、ひちょりじゃないか?」と誰かが気づいたものだから、みんなで外気浴スペースから身を乗り出して、外野で球拾いをしている新庄監督の盟友・森本稀哲コーチに手を振った。

のんびりとした時間。

ひとりもいいけれど、だからこそひとりで北海道までやってきたけれど、みんなで一緒にのんびりするのもいいもんだな。

今年一番のんびりしたサウナを、まさかエスコンフィールドで味わえるとは思っていなかった。

 

ここで試合を観た有名人さん。

細かいことは言わないよ。

でも、その試合はどちらが勝ったか覚えてる?

そもそも、どこのチームとの対戦だったか記憶にある?

怖いことを訊くけど、ここが日本ハムファイターズの本拠地なのは知ってる?

さすがに日本ハムが「暴れん坊軍団」東映フライヤーズからの流れを汲む球団だなんて知らなくてもいいよ。

「喝のおじさん」張本勲が、歴史上ではこの球団の先達にあたるのもまたわからなくて仕方がないとは思う。

野球がわからなくても、その雰囲気を楽しみにやってきてくれたのなら、立派なお客さんで間違いない。

でも、やっぱり、「楽しかったです」「素晴らしかったです」だけでは足りないんじゃない?

もっと思ったことを書いてほしい。

なにも思わなかったのなら、思えることを探してほしい。

それでも思いが浮かんでこないのなら、空っぽの自分について考えてほしい。

 

そうじゃないから、俺のような人間にまで居場所ができてしまうのだよ。

サウナの有名人たちは、俺から連載を奪え。

別に文字でも映像でもいいんだ。

あなたが思ったサウナを、あなたにできる形でいいから、残してほしい。

俺は「tower eleven onsen & sauna」については、ここから賑やかな試合を観るだけではなくて、みんなでのんびり練習風景を眺めた時間も思い出になるサウナだと思ったよ。

 

月刊サウナ、連載5回目です。

以上