歳をとると昔の話をするようになるし、同じ話を繰り返すようにもなるけれど、許してほしい。
ここは俺の日記なので。
俺が高校球児だった20世紀末、スポーツ用品店のオヤジたちはよく江川卓の話をしてくれた。
あんな速いボールは見たことがない、下半身がガッシリしていてケツが歩いているのかと思った、江川目当ての車で渋滞して球場までたどり着けなかった、などなど。
巨人のエースになろうとも、禁断のツボに中国鍼を打とうとも、北関東の江川はいつまで経っても作新学院の怪物のままだった。
江川ほどではないけれど、やはりよくオヤジたちから聞かされたのが広沢克己の話だった。
小山高校から明治大学に進み(島岡監督の時代!)、ヤクルトの4番へ。
こちらは怪物というより、郷土が誇るスーパーエリート。
広沢の出身は茨城の結城で、小山高校は栃木で、俺がこの話を聞いたのは群馬のスポーツ用品店の店先だったけれど、このあたりは北関東3県、競い合うより連帯感の世界だった。
いまさらだけど広沢は頭のいい男で、小山高校は頭のいい学校なんだな。
通った高校名で諸々が判断される、そんな田舎で育った俺は余計にそう思った。
で、一昨日行った小山思川温泉。
露天にある、甕とも桶とも樽ともいえるたっぷんたっぷんの水風呂がとにかく好き。
どこのサウナでも一度行けば「もう一度」とその場では思うものだけれど、その気持ちが5ヶ月持続して、朝6時起きで再びやってくるほど意欲を掻き立ててくれる店はそれほどない。
去年の10月以来でやってきた、小山思川温泉はその数少ない店のひとつ。
露天の芝生の上で、「安全第一」のタオルを巻いて、ラジオ体操をしていたおっちゃんが、ここでは最高に格好よく見えた。