東京の西側に銭湯は残らないのでは

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仕事に行って、大学に行って、あけぼの湯に行った。

21時に入ったら、なんとサウナどころか浴室に誰もいなかった。

高温サウナと掛け流し水風呂の独り占め。

府中市民は銭湯から居酒屋に行き先を変えてしまったらしい。

誰かが太り始めると、他の場所で誰かが痩せ始める。

そうでないと重さで地球が沈んでしまう。

それが条理であるとしても、銭湯から人が消えてしまうのは、寂寥感と不安感が共存する。

ときおり、東京の西側に銭湯は残らないのではと思うことがある。

 

帰り道は、もう子どもたちも寝てしまった時間だからと、歩いて帰ることにした。

暗いルミエール府中の前のベンチで、酒を飲んでいる若者たちがいた。

まだまだインターネット上では「気の緩みが」「リバウンドが」「第6波が」とやっているし、どこまでも他人に厳しい態度をとるのが正しい作法になっている。

しかし彼らはそう騒いでいるわけではなかったし、俺もインターネットの人間ではなかったので、彼ら彼女らの様子は好ましい光景に思えた。

なんとかここまでは来られたのだと思った。

たくさん笑って、たくさん思い出を作ってほしい。

不甲斐ない大人たちが迷惑ばかりをかけてしまってごめんなさい。

 

彼ら彼女らがうらやましくなって、東府中のサミットでビールでも買って帰ろうと思った。

そうしたら目の前で海鮮丼に半額シールが貼られたので、俺は海鮮丼をつまみにビールを飲むことになった。