例えば「ディープインパクトの豪脚に感動した」「ロジユニヴァースのダービーに諦めないことの大切さを学んだ」「父系から消えるノーザンテーストを『あはれ』『をかし』で語る」なんて、学校の宿題テイストでいくならそれでいいと思うわけです。
しかし私は単なる馬券購入者であって、直接の競馬関係者ではないのです。
自分と競馬を媒介するのはやはり馬券なのです。
我が競馬最良の日、それは1999年5月6日。
ああ、素晴らしき20世紀。
俺は「この馬はハンデ53キロなら走るんだ!」と意地になって言い切り、この14頭立て14番人気の馬に賭け、馬連万馬券と結構な額の単勝馬券を的中したのだった(当時三連単があったら!)
確か翌日には大月の教習所に電話して、すぐに自動車免許を取りに行ったと思う。
あと当時の彼女に「ラブホに行きたい」と言われ、石和や相模湖のインター沿いではなく、東京の街中のラブホに行ったんだっけ。
振り返れば当時は彼女の乗り換え期で、どっちの彼女と行ったのかは覚えていない。
まあ、終わってみればそんなもんだ。
もう一日あって(俺は「最高」「最良」と冠しながら2つ事例を出すような商業記事が大嫌いなんだけど、ここは1着同着で許してほしい。そもそもここは俺の日記だしさ)、2012年9月8日。
9頭立て8番人気の、花田大昴という無名の騎手が乗るスリーフォスターを頭に買って、それが1着。
確か東スポの新馬評価にAが並んでいたのが購入の動機だったと思う(にも関わらず人気になってない!花田!)
4コーナーでも最後方だったスリーフォスターの、馬生一度の末脚。
その後のスリーフォスターは11着、14着、13着、10着、14着……とまともにレースにもならない大敗が続き、ただの一度も馬券になることはなかった。
きっとよくある、サラブレッドの最期を迎えたのだろう。
しかし勢いがついたその日の俺は、馬券を買いまくり、的中しまくり、財布やバッグにも金が入り切らない事態になった。
結局競馬場内のコンビニで買い物をして、もらったビニール袋に金を放り込んで帰った覚えがある。
「ほら、淋しいときほど夕日を見たいって思うものだから」
今日はオールカマー!神戸新聞杯!と聞いて、久しぶりに東スポを買って、競馬をやってやろうという気になった。
しかし競馬は久しぶりでなんとかなるようなものではなかった。
そもそも毎週やったってどうにもならんのだけどさ。
レイパパレにもシャフリヤールにも、積極的に逆らう理由を見つけることができなかった。
駄目な時は過去を振り返れ、振り返る程度の過去なら自分にもある……。