梅雨になって湿気が多くなれば、あるいは夏になって暑くなれば。
季節の気候によって新型コロナウイルスは姿を消してしまうのではと、希望的観測で語られていたこともあった。
現実にはここにきて若干勢いが衰えた感はあるものの、今日発表された東京の感染者数は148人。
まだまだ連日相当数の感染者が出ているとの報道がされている。
俺はおそらく夏バテで、昨日の夜に立ち上がれなくなった。
いや、まったく動けなくなったわけではなくて、立ち上がる気がしない精神に肉体が完全に連動した状態になってしまったのだ。
暑さに参ったのはウイルスではなくて人間のほうだった。
俺が死んだらあいつは喜ぶ、と思ったらまだ生きていなければならない気持ちになる。
生きる動機なんて何でもいいのだ。
俺はもう一度府中で、東京競馬場で、パドックから馬を見ながら競馬をしたい。
それまでは生きるし、それが叶えば先は考えていない。
今日の俺は立ち上がって、サウナに入るために大塚までやってきた。
カプセルイン大塚。
チョロチョロと水が流れる音と、遠くからのモーター音が聞こえるだけで、それは静かな浴室だった。
水風呂の横にバケツに入った溶けかけの氷があったので、それを勝手に放り込んだ。
俺の他にはお客がいなかったので何の問題もなかった。
次回はこの店の裏の長沢商店で、氷柱を買って持ち込もうかと思う。