ずっとずっと、宿題のない夏休みがほしかったんだ。
そうしたら、何年も生きているうちにそれは手に入ったんだけど、代わりに勤労の義務が覆いかぶさってきた。
例によって俺はがっかりした。
勉強はもちろん、運動ができなければバカにされるし、絵も描けなければやっぱりバカにされる。
今どきの小学生って、いろいろできなきゃいけないから大変みたいだよ。
寝る前に息子がそんな話をしてた。
小学2年生の愚痴。
8月31日の横須賀はもう、セミの声が小さかった。
9月11日で閉店するサウナトーホー。
以前ここに泊まった時は、夜中までサウナに入っていた。
それでも早起きして、早朝の横須賀を散策した。
あれは贅沢なカプセルホテルの1泊だった。
レストランでも特に品切れマークが付いているメニューもなく、このまま淡々と営業が続いていきそうな雰囲気すらある。
ど平日の真っ昼間だから、お客さんは少なかった。
それでも毎時00分、20分、40分の「リョウリュウ」の前になると、サウナ室には何人か集まっていた。
サウナブームだ!今サウナがきている!それでもこの街のサウナは救われなかった。
こんなに悲痛な閉店の告知文は初めて見た。
何かを見ても、思っても、すぐに流されて記憶から消えてしまう。
横須賀には「のぼり雲」もあるんだけれど、駅から遠いし、そのためにまたこの街を訪れるかというと、自信がない。
どこに向かって何を変えたいのか、それを語ってくれよ。
本当のところを語ってくれよ。
大体において社会で優遇されるのは適当なことを堂々と言う人だ。
立派なことを言う人に、立派な人はほとんどいない。