具体的にこれがしたい!こうなりたい!と思って生きてた時代もあったのよ。
でも叶わなかった。
突き詰めるほどに苦しくなって、表現することができなくなっていった。
論文の書けない自称研究者、発表に不向きな自称研究者。
育ちが悪く、うまく甘えることができないことも、あの世界では致命傷だった。
引導を渡される前に、自分の意思ということにして、諦めた。
さよなら。
でもどうしてか、後輩は大事にしてきた。
夢が消えたって人生は続いていく。
もうそんな話しかできないけど、そんな話でも求められればしてきた。
悪しき見本で構わないから。
本音では後輩を思うだけでなく、自分自身の再生産を見たくなかったのもあるんだけど。
そんな風にして呼吸しながら毎日を過ごしてるだけで、随分と時は流れてた。
夢を諦めなかった後輩たちから、今度は俺にアプローチ。
お前ら、いつの間に偉くなったんだ?
俺には家族がいるし、旅にも出たいし、馬券代もサウナ代も必要だ。
だからまずは半歩だけ、そっちの世界に帰ってみることにする。
お前ら、責任持って面倒見ろよ。
どうかよろしく、お願いします。