プレゼントの絵本を持って会いにいった

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去年の暮れに子どもを産んだ友人に会いにいった。

プレゼントの絵本を持って会いにいった。

約束をひとつ果たせてホッとした。

この人には嘘つきだと思われたくなかったから。

 

無理やりにラッピングした絵本を渡したら要件は完了だけど、せっかくなのでベビーカーを押して散歩することになった。

自分にとって馴染みのある街ではなくても、懐かしかった。

ベビーカーを押すことで蘇ってくる記憶さえあった。

我々は雨の恵みで生きているので、「雨の日を嫌うな」とよく言うんだけれど、今日の空はギリギリのところで我慢してくれてありがたかった。

 

主役は赤ちゃんでも会話にまでは参加してくれないので、ふたりでいろんなことを話した。

出産の時のこと、毎日の暮らしのこと、保育園のこと、そこから先のこと。

俺も自分のことを話した。

景気のいいことがなにもなくて、そんな話しかできない人間は他人にとって不愉快で無益なので、だから自分のことは話さないのが世のため人のためなのはわかっているんだけど、今日はこちらからも話したくなった。

仕事のこと、研究のこと、自分の子どものベビーカーを押していた頃のこと。

 

自分の子だったらなにがあっても親が背負えば、というある種の気楽さはある。

でもよその子なんだよな。

だから無事に育っていくことを祈る。

祈るしかないから祈る。

そんじゃ、また。

 

以上