もう一度、またあの日本の終わりを感じさせられるような時がきてしまったかと思った。
寝起きの頭で絶望した。
2011年3月11日。
俺の周りでは毎朝バスが空港に向かう人でいっぱいだったり、行きつけの中華料理屋の店員が全員国に帰って閉店してしまったり、節電で本も読めない暗い京王線に乗ったり…
など、直接被害にあった人たちからすれば大したことのない出来事たちには違いないけれど、それでもいちいち心を締めつけられながら、見せかけの日常生活を送っていた。
2016年11月22日。
仕事に行った。
通勤電車の中はいつもと変わらないようで、地震のニュースを動画で見続けている人が多かった。
8時半に職場に着いて、午前中は夢中になって働いていた。
こういう時は目の前の現実に集中しておいたほうが気持ちは楽だ。
ただ、周囲であまり地震のことが話題にあがっていなかったから、そんなに大きな被害は出なかったのかとも思っていた。
昼休みになってニュースサイトやツイッターをチェックすると、想像していたよりも被害は少なかったことがようやく分かった。
ケガをした人がいるし、漁船を壊された人の嘆きのコメントが出ていたりしたから、このくらいでよかったと言い切ってしまうのには抵抗があるけれど、それでもこのくらいでよかったというのが正直な気持ちだった。
ほんのちょっとの残業を終えて、サウナで汗を流し、東秀でラーメンとチャーハンとビール。
月並みだけれど、本当の日常生活ってありがたいし、楽しいものなんだ。