船堀のコア21は失われたら終わり

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日曜の午後にどこまで行けばゆったりとサウナに入れるか。

そう考えたら府中から船堀まで移動しなければならなかったのだから、サウナブームというやつは罪深い。

船堀のコア21は失われたら終わり。

個室サウナやおしゃれサウナが流行っていることにされる昨今では、こんなにサウナらしい匂いがするサウナが新たに生まれることはもうあり得ない。

そして新たに生まれてくる個室サウナたちは、利用料金から察するに長生きはしない。

廃サウナ跡が乱立するかもしれない。
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船堀タワーの上から東京の夕景でも眺めようかと思ったら、年内は展望台を閉めているとエレベーターの前に掲示があった。

タワー下の1階はワクチン接種の会場になっていて、パラパラとパイプ椅子が並んでいた。

薄情なもので、自分がワクチンを打ち終わってしまえば「まだやってるのか」くらいにしか思えなかった。

俺の晴れた土曜日なんて

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頭数は間にあっている感じだったので、昼で帰ろうと思った。

11時半頃にそれを言い出そうとすると、まさにその瞬間に同僚がやってきて、「今日、半休にしてもよろしいでしょうか」と、本来は俺を相手にしている時ではない丁寧な口調で、しかし真面目に訊いてきた。

俺はどうぞどうぞと休暇の取得を笑顔で勧めて、自らが休む構想を思いついた瞬間に潰した。

そして午後もずっと働いた。

なんならいつもより働いた。

 

晴れの日が直接結びつく趣味を持っているわけでもなく、おそらく俺が職場を後にしたところで、そこらをブラブラしてここらのサウナに入るだけの午後だっただろう。

そして丸一日働いてきた顔をして、しれっと家に帰っただろう。

実際には本当に一日働いて、帰ると妻から「休日出勤の日くらいもう少し早く帰ってこられないのか」と、あれな口調でなじられた。

 

俺の晴れた土曜日なんて、そんなもんだ。

そしてニューウイングはどうなんだ?

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先日からおそらくブタクサのせいなのかなと思っていて、鼻がムズムズする気配を市販の薬で凌いできたのだけれど、今日は部屋を移動するたびにくしゃみが出る寒暖への弱さまで披露してしまって(換気のせいで室温に差がある)、1.5回り歳下の子から大笑いされてしまった。

病院に行くと鼻の粘膜を焼かれたりするのだろうか。

俺は右肩のリハビリが途中のままで、歯医者も治療中で放ったらかしになっている。

耳鼻科にも整形外科にも歯科にも、なんの決着もつけられないまま今年が終わっていきそうだ。

「今年もよろしくお願いします」と続けないのは、自分自身に今年を全うする自信がないからです。

(「『府中白糸台日記』新年あけましておめでとうございます」より)

結局11月まで生きたのだから、たぶん今年いっぱいは生きているんじゃないだろうか?

誰に頼まれて生きているわけでもないけれど、今日があるだけで上等なのかもね。

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昨日行ったサウナは錦糸町のニューウイング。

ここに来るとおそらく3年前あたり、浴室の入口であの支配人と「本当にサウナブームなんてきてるのかねえ」と話したのを思い出す。

あれから世の中は酷いことになって、俺も今年は酷い夏を経験して、今ようやく立ち直る方向に向かいつつある。

サウナはどうだ?

水風呂はどうだ?

二股カルシウム温泉はどうだ?

そしてニューウイングはどうなんだ?

多磨霊園は高級すぎる

やっと府中の免許センターが見えてきたところで、これから多磨霊園の脇を通るか、なんなら真ん中を突っ切って帰ろうとしているのがこんな時間なわけで。

怖くなんかないよ。

どれだけ死んだ人間が埋まっていようとも、生きた人間のいない場所は、いつだって穏やかだから。

 

しかしまあ、俺の嫌いな人間に埋まってもらうには、多磨霊園は高級すぎるね。

「雑踏より確実に人を殺せる電車を狙った」なんて

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時間が経てば「あれができたはず」「これもできたはず」と言いたがる者は出てくるけれど、悪いのはただひとり。

似合わないジョーカー風のスーツを着て、吸えないタバコをふかしていたあいつだ

東京都調布市を走行中の京王線の電車内で乗客1人が刺され、車内に放火された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された職業不詳の服部恭太容疑者(24)が「人出の多いハロウィーンを狙った」と供述していることが警視庁幹部への取材でわかった。「雑踏より確実に人を殺せる電車を狙った」と話しているという。

讀賣新聞

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社会にしがみついて生きている以上、現実に起こったことは直視しなければならないけれど、それでも京王線の車内が燃えている動画まで見てしまったのは余計なことだった。

怖くなった。

京王線がというだけでなく、もう外に出るのはしんどいなと思った。

ただでさえ夏の鶴見での労働以来、自分のメンタルの地盤がぬかるんでいる実感がある。

これはまずいと思い、友人に時間をとってほしいと頼んだ。

会えばサウナに入って、飲んで、話しているだけなんだけど、それを約束して、その約束を果たすために相当量の勇気を出して事件翌日の京王線に乗って、さらに山手線にも乗って、メンタルのグラウンドに新しい砂を入れてならすことができた。

 

今日のサウナは駒込のロスコだった。