保護猫か保護犬を引き取って、あとは余生だと思って過ごしなよ

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妻に「今日は休んで」と言われたから仕事に行かなかった。

大学にも行かなかった。

論文にも発表用の資料作成にも、手をつけなかった。

ずっと家で横になっていて、昼になったらコーヒーが欲しくなって、コンビニまで買い物に行った。

立ち上がったら頭がクラクラした。

まともなコーヒーくらい家でも飲めたらいいんだけど、これまで44年間思うだけで手をつけてこなかったので、きっとこれからもこのままだろう。

それに俺は「コーヒーを淹れる」の「淹」の字が好きではない。

夜になって境南浴場へ行った。

家を出る時、妻は「仕方がないか」の顔をしていた。

サウナに入って、風呂にも入って、結局は体を温めるためには風呂なんだと思う。

帰りに素浪人に寄った。

ビール中瓶、まぐろ中落ち、玉子焼き、ポテトサラダ。

中瓶は飲み出してしまうと、やはり大瓶がよかったと思う。

他のお客さんから「保護猫か保護犬を引き取って、あとは余生だと思って過ごしなよ。10年くらいあっという間だよ」と言われて、そうなのかと思った。

 

以上

狛江湯のサウナと狛江市役所のロースカツ定食

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去年の4月にリニューアルオープンした狛江の狛江湯に、1年経ってようやくやってきた。

かつては白くて飾り気のない浴室だった記憶があるのだが、床と壁のタイルは昔の南海電車を連想させる薄い緑に変わっていた。

サウナストーブが遠赤からオートロウリュの対流式になったのは時代の流れなのだろう。

相変わらずテレビがなく、音楽もなく、水の流れだけが遠くから聞こえる感覚のサウナ室には、かつての面影があった。

【狛江湯 サウナイキタイ】

https://sauna-ikitai.com/saunas/1984

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住所は狛江市東和泉、いわゆる「わいずみ」だ。

国分寺崖線からの湧水と多摩川の伏流水。

ここは水に恵まれた土地だから「和泉」なのだと、狛江湯の脱衣所にそんな説明が書かれていて、それは確かに出た後も体にハッカのようなスーッとする清涼感が続く水風呂の源なのであった。

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今日のランチは狛江市役所の地下にある食堂「ジャックポット」で食べた。f:id:tsumetaimizuburo:20240304231441j:image

どことなく病院食の雰囲気…

しかしこれは器にこだわらない市役所メシの特徴として受け入れなければならない。

ご飯とスープはおかわり自由、それに紙コップのドリンクバーが付くのだからありがたいくらいだ。

ロースカツ定食は850円。

この手の食堂はだいたい激安価格だったのだが、今はそこまででもなくなっているらしい。

 

以上

発表会→ぬくい湯

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今日は研究会の発表に向けたプレ発表会だった。

「忙しそうなんで、一番に発表してもらって、その後は抜けてもらっても大丈夫なんで」と、気遣いをする振りをして朝イチの順番をあてがわれてしまった。

実にアットホームなプレ発表会で、質疑でたくさん痛い目にあった。

人間は痛い目を見ないと学ばないから仕方がないね、特に俺は。

せっかくたくさん叩かれたのに、叩き返さないのはもったいないので、結局最後まで居座った。

 

プレ発表会を終えると、メンバー4人で小金井のぬくい湯へ行った。

サウナ客で言うところならドラクエだが、他に一人もお客さんは居なかったので問題はなかった。

青森産のヒバが縁取りになっている、少々ジェネリックだがお湯の感触が優しい風呂。

最近は頭や歯が痛くなって(ストレスからくる知覚過敏かもしれないそうな)、バファリンを食って生きているような生活をしているけど、今日は発表前の2錠しか飲まなかった。

www.1010.or.jp

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疲れた、うんざりした、もう○んでしまいたい。

いつもそんな調子で自分のことばかり話しているのはみっともない。

学問は、例えばどんな学会でも世のため人のため後世のための文脈で大義を持って設立されているので、学んでいる間は少しだけどみっともなさは軽減されている感覚になれる。

最近、佳境に差し掛かっていた論文を1本諦めた身で、偉そうなことは言えないんだけどさ。

あの論文のことは最後まで好きになってやれなかった。

それが敗因だった。

 

以上

久慈サウナへ行ってきた話

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久慈サウナのサウナ室は、入った瞬間の饐えた匂いがたまらなかった。

これはずっと使われてきたサウナの匂いだと思った。

こうなると深呼吸をしてしまう。

おかげで1セット目から体の中まで熱くなった。

 

【久慈サウナ(サウナイキタイ)】

https://sauna-ikitai.com/saunas/458f:id:tsumetaimizuburo:20240228175601j:image

初めての久慈サウナには、なにか決めつけたイメージを持ってやってきたわけではないけれど、このつぼ八と同じビルに入ったサウナ屋に、どこか洋風の装いがあるのは意外だった。

飾りのついたカランの前の鏡とサウナストーブの囲い、休憩室の照明などなど。

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JRと三陸鉄道久慈駅を出て、地下道を抜けて左側に久慈サウナを見つけるまで、5分もあれば十分だろう。

営業時間は14時から22時まで。

定休日はなし。

夕方以降は店員さん不在のセルフ方式になるらしい。

お土産に「クジサウナ」の文字が入ったタオルを3枚買った。f:id:tsumetaimizuburo:20240228175607j:image

「都会のサウナと比べられたら恥ずかしいです。でも久慈までいらしてくれてありがとうございます」

「こんなに雪が降っちゃって、なんだか申し訳ないわ」

「鉄道はすぐ止まっちゃうのよ、海沿いを走ってるから。バスは頑張ってくれるわよ」

「すぐバスに乗る?傘は大丈夫?」

「これからもお店やってますから、また来てね」

 

きっとこの受付のお姉さんに会うために通っているお客さんもたくさんいるに違いない。

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この日の八戸線は午後から全面運休になった。

俺は昼の終電で久慈まで抜けた。

(府中白糸台日記「八戸に行って見たことのない景色を見て食ったことのないメシを食った」より)

JRバス東北の営業所に電話をした。

今日は久慈→二戸、もしくは久慈→盛岡のバスは走っていますかと。

「はい、平常通り運行しております」と自信に満ちた声が返ってきた。

だから俺も自信をもって、これから八戸線が運休になって同じ線路を折り返せないのは承知の上で、つまりいわば片道切符で、久慈までやってきたんだ。

しかし実際に久慈から二戸行きの「スワロー号」に乗ってみると、これは電波の繋がらない真っ白な山道を進んでいくバスで、やはり帰路につけたのは幸運であった。

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八戸のまるなか食堂のお姉さんと、久慈サウナのお姉さん。

初めて会った二人のおかげで、普段は誰とも口をききたくない自分が、出来うる限り少ない会話で乗り切るためならどんなに非合理的であっても労を惜しまない自分が、いろんなことを話してしまった一日だった。

旅先だからなのだろうか?

だったら毎日旅をしていれば、これをいつもの自分に出来るのだろうか?

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あー、それからね、能年玲奈さん。

いつかの水沢競馬場へ行った時、目にした岩手銀行のポスターが本当に格好よかった。

銀行員の制服を着て、ギターを振りかざしてるやつ。

「きれい」とか「かわいい」とか、そういう域を超越して誰よりも格好よかった。

この人がガンガン活躍できない世の中じゃつまんねーぞ、聞いてるか、芸能界のお前ら。

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そんじゃまた、久慈サウナさん。

以上

八戸に行って見たことのない景色を見て食ったことのないメシを食った

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そりゃ晴れた日なら、歩いていて「靴下の替えを持ってくればよかった」なんて思わずに済んだんだけどさ。

しかし見たことのない景色の見るために八戸までやってきたのだから、地元の人が「八戸はそんなに雪が降る土地じゃないんだけどねぇ」なんて言ってくれる日の景色なんて、最高じゃないですか!f:id:tsumetaimizuburo:20240227153253j:image

白銀の世界の白銀駅、読みは「しろがねえき」。

この日の八戸線は午後から全面運休になった。

俺は昼の終電で久慈まで抜けた。
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ふき、ワカメの茎、昆布、布海苔など、地物だけで構成された手作りランチ。

「大したものがなくて、うちで作ったものしかないけど、ごめんなさいね」

ハンバーグとかカレーとかラーメンとか、そういうわかりやすくない昼食がこんなにおいしいとは、これまで生きてきて知らなかった。

お姉さんが優しく話しかけてくれる食堂の中で、ろくな仕事も勉強もできないままに、ただ息をしてきただけだった44年間を思い知った。

あまりにおかずがおいしくて、ご飯は3杯食べた。

お姉さんは大喜びしてくれた。

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「種差まで遊歩道があるの。高山植物も生えているし、鳴き砂もあるのよ。いい季節になったらまたいらっしゃい」

お店に電話が入って、お姉さんは「いいから、いいから、今日は道が危ないでしょ、持っていくから」と言って、あの豊かなランチを出前するために外に出て行った。

こんなに優しくて、温かい大人になりたかった。

鮫駅近くの「まるなか」と書かれた食堂にて。

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東京でさ、雪が降るとさ、「あー俺リモートで仕事ができてよかった」みたいなのばっかりでさ。

夜のうちに雪かきをしてくれた人たちに、思いを寄せる者は消えてしまった。

八戸ではどうなんだろう、子どもたちは除雪車に乗ってみたいと思うのだろうか。f:id:tsumetaimizuburo:20240227153250j:image

もう生きていても嫌な思いばっかりなんだけどさ。

たまに遠くに来るとまた来たいと思うし、もっと遠くに行きたいとも思うし、そのためにはもう少々生きる必要があるわけで、やっぱり旅は自分に必要なのかもね。f:id:tsumetaimizuburo:20240227153246j:image

あまりにランチがおいしかったので、帰りに普代の海苔を買った。

明日の味噌汁にすればいい。f:id:tsumetaimizuburo:20240227153240j:image

壽浴場は風呂の種類が豊富で、シャキッとする体感の水風呂がある銭湯だった。

風呂もサウナもいいけれど、印象に残ったのは女将さんが店の前と駐車場を黙々と雪かきしている姿だった。 

【壽浴場(サウナイキタイ)】

https://sauna-ikitai.com/saunas/4813

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今回は10000円でJR東日本エリアが乗り放題になる切符「キュンパス」を使ったんだけど、こうして東北に来てみると、その駅ごとにも特典が用意されていた。

たくさんポスターも貼ってあるし、3月14日までなんていわないで、もう通年で売っちゃえばいいじゃん。

自分の生まれた国の景色くらい、もっと手軽に見て回れたらいいのに。

 

以上