いい顔の85歳になるために

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晦日高知競馬場にいた。メインは賞金2000万円の高知県知事賞だった。そこには去年まで大活躍し、今年になって落ち目になってしまったスペルマロンという馬が出走していた。高知競馬で活躍しても通常は種牡馬になる道はない(グランシュヴァリエは奇跡だ)。行き先がないがゆえに現役を引退できない悲哀、悲壮感。ところが今日の高知県知事賞でこの馬は好走した。直線はかつて船橋にいた林謙佑が乗っているガルボマンボと叩きあっての2着。俺にはスペルマロンが持っている力を絞り出したというより、特に最後の直線は遊んで走っているように見えた。そこには悲哀も悲壮感もなかった。なんというか、そんなものなのだ。物事なんて勝手に持ったイメージでいくらでも見誤ってしまう。今年は大学院に入ったのが俺にとっての大きな変化だった。過去を未来に繋げていくイメージばかりしていると、自分の居る場所がわからなくなってしまう。ここは過去なのかもしれないし、未来なのかもしれない。「今」の概念は曖昧すぎて受け入れられない。さっき紅白歌合戦で85歳の加山雄三が歌っていた。相応の衰えはあっても、いい声と顔をしていた。男は生き方というか、人間性が年月を経て顔に出る。女は知らない。俺が今の加山雄三の歳になるまではあと42年ある。そんなにあるなら、俺だっていい顔の85歳になろうとチャレンジする価値はあるかもしれない。なんにもまとまらないけど、俺はそろそろ寝る。好きで旅をしていても、働いている時ほどではないにしろ、疲れるのは変わらない。2023年も他人のために想像力を使える人間でありたい。あり続けたい。諦めないでずっと。少なくとも85歳になるまでは。

 

2022年 以上