新宿区役所前のサウナは、しばらく来ない間に様変わりしていた。
セルフロウリュができるストーブに替わり、木の黒が濃くて照明が抑えられたサウナ室は、カプセルプラス横浜の雰囲気に近い。
運営会社が同じという噂だが、そこは同じノウハウで近づけてくるものなのだろうか。
砂時計が落ち切るたびに、どうしてかいつも同じおじさんが「ロウリュしていいですか?」と訊いてくれる流れ。
数年前までのなかなか汗が出ない区役所前サウナのイメージは払拭されていた。
歌舞伎町には人が戻っていた。
空きテナントの掲示もだいぶ減っているように感じた。
ただ俺は、どの店も閉まり若者だけが「路上飲み」とやらで群がっていた、権力の匂いがしないコロナ全盛の歌舞伎町が好きだった。
俺は路上飲みをしていたわけではなく、その時もまだ旧ストーブを使っていた区役所前サウナに向かうついでに覗いた程度だったけど。
若者がジジイやババアに使われていない光景が新鮮で、好ましかった。
本来この国はこうあるべきとすら思った。
それでは経済が回らないと言われそうだが、あの光景に比べたら、経済なんかクソでも喰らえ。
中華料理五十番で五目チャーハン。
とにかくしょっぱいチャーハンが食べたかったら、五目の付かないチャーハンをお勧めする。