松坂大輔の話

西武の松坂大輔投手(40)が今季限りでの現役引退を決断したことが6日、分かった。この日までに球団に意向を伝えた。

ドラフト1位で西武に入団すると99年4月7日の日本ハム戦で初登板初先発初勝利の快デビュー。いきなり16勝の大活躍で新人王を獲得しただけでなく、54年宅和本司(南海)以来45年ぶり史上2人目の高卒新人最多勝に輝いた。翌00年も14勝、3年目の01年も15勝で最多勝。高卒1年目からの3年連続最多勝は史上初と、瞬く間に球界を代表するエースになった。

スポニチアネックス)

日本人のプロ野球選手は、まずは高校野球を経験している(マック鈴木でさえ滝川二高に入学はしている)。

俺はどんなに凄い選手を見ても「俺たちは土のグラウンドと汗くさい部室から巣立った人間じゃないか」と思う。

県大会1回戦負けの元高校球児から図々しい物言いだが、プロ野球選手を出自の同じ仲間だと思って感情移入している部分は今でもある。

彼らにだって、○○モデルのグローブを手にしただけで、守備が上手くなった気分になって、その日だけは真っ先にノックを受けたくてたまらなくなった経験があるはずだ。

まあ今どきの強豪校の球児たちは、クーラーの効いたクラブハウスで、爽やかに青春してるのかもしれないけどさ。

 

松坂が京都成章を相手にノーヒットノーランを達成した試合も、なんなら俺は高校野球の1年先輩目線でテレビを眺めていた。

こんなに有名になって、たくさんの人が寄ってきて、彼はこれから卒業までの日々をどう過ごすのだろうと思っていた。

松坂には高校3年の後ろ半分、少なくとも夏休みは全くなかったに違いない。

これから先も野球を続けていくのが確定していた彼は、あの「これで野球から解放される」感覚とは無縁の人生をここまで送ってきたのだろう。

好きでやってきた野球なのに、離れるのが少し嬉しくて、じきに寂しくなってくるやつ。

大多数の高校球児が3年夏に味わう解放感を、今からでも体験してもらって、寂しくなったらまた帰ってきてくれればいい。