現在妻は生まれたての二人目の子と一緒に信州の実家。
上の子は、俺とともに府中で過ごして保育園に通う日々。
長い期間ママと離れて過ごすのは初めてのことなので、寂しくて毎日泣いている、なんてこともなく、応援に来てくれている父親方のおじいちゃんおばあちゃんとも楽しく毎日暮らしているように見える。
そう見えるのだが、本当にそうなのだろうか。
俺はあまり我が子のことを信用していないところがある。
何だか嫌な父親だが、それは我が子可愛さゆえでもある。
どうも周囲に迷惑をかける、自分でそう判断した感情に蓋をしているのではないかと思うのだ。
信州から府中へ戻る新幹線の中、高崎に差し掛かるあたりで「長野が遠くなっちゃったね」と言っていた。
大宮で新幹線を降りると「長野が見えなくなっちゃったね」と言った。
寂しさを見せたのはその時だけだった。
まだまだ乳飲み子の余韻が残る4歳児、ママのことが恋しい年頃のはず。
そんなに強いものなのかとも思うし、もう少し子どもらしさを感じさせてくれたほうがこちらとしては安心できるところもある。
何だか、子どもより父親のほうがワガママだ。
見た目はママに似ている雰囲気がある。
妻の家系はすらっと細身で足が長いタイプが多いので、ぜひともこのままでどうにか。
ただ内面が、どうにも俺に似ている気がして申し訳ない。
不器用で報われない気遣い、役に立たないところの繊細さ。
どうにか、どうにか、悪いスイッチを入れないままに大きくなっていって欲しいのだが…
大きな風呂が好きだというので親子で銭湯、行き先は府中のあけぼの湯。
893なお客の柄入りの背中に興味を示したり、他の親子連れと会話したり。
世界の、とまではいかなくとも世間の広さは教えてあげたいと思っている。