出張先での昼食。
せっかく都心に出てきたのだから何かいいものを、と思っても時間は限られていた。
近くには飲食店もなく、歩いて、歩いて、歩いて、ようやくラーメン屋を見つける。
食べたのは「大餃子定食」。
歩いて、歩いて、歩いて、汗がとまらない程度の距離を歩いていたから、初めて来たラーメン屋だがラーメンは頼まなかったのだ。
「だいぎょうざていしょく」
とオーダーしたら、店員の、ほぼ間違いなくバイトのお兄ちゃんが厨房に向かって威勢よく、
「おおぎょうざていしょくいっちょうです!」
と叫んだ。
「大餃子定食」は「おおぎょうざていしょく」であって、「だいぎょうざていしょく」ではなかったのだ。
それだけの話で、それでちょっとだけおじさんは恥ずかしかったですって、本当にそれだけの話。
かつて、「三元豚」が「さんげんぶた」なのか「さんげんとん」なのか分からなくて、「三元豚の○○」なるメニューを注文できなかったことがある。
本当にそれだけの話。
明日も同じところへ出張なので、同じ店に行って今度はしっかり「おおぎょうざていしょく」とオーダーする手もある。
味とボリュームは素晴らしかったので。