今村聖奈を見て藤田菜七子を思い出す

小倉11RのG3・CBC賞(芝1200メートル)は、今年デビューの新人・今村聖奈(18=栗東・寺島)が騎乗したテイエムスパーダ(牝3=五十嵐)JRAレコードとなる1分5秒8で逃げ切りV。女性騎手では初の重賞初騎乗初制覇の快挙を達成した。

スポーツニッポン

大したもんだなあ。

武幸四郎のデビュー週のオースミタイクーンは別格だとしても、新人騎手でもう7月に重賞を勝ってしまったのは半端じゃない。

これで通算18勝目、最終も勝って19勝か。

テイエムスパーダは2番人気だったわけで、ただ軽ハンデの馬で前に行ってたまたま残ったわけでもない。

女性騎手だからどうこうという視点で見る必要はないのだろう、今村聖奈に関しては。

 

3か月半に渡って滞在した栗東から美浦で再始動した菜七子。「たくさんの方におかえりと声をかけてもらえました。水曜日に4頭、木曜日に2頭調教には乗りました。栗東の坂路は勾配とかも違いますし、幅とかも違うので美浦の坂路とは違うなと感じました」。今週から開幕する福島で、成果を見せたいところだ。

(スポーツ報知)

でもなあ、俺は無粋なので同じ女性騎手を比較してしまう。

最近あまり名前を見なくなってしまった藤田菜七子は、今日は福島で3鞍乗って13着、15着、12着。

今年はここまで4勝。

以前は新潟でリーディングを獲ったり、武豊と海外遠征したりして賑やかだったんだけど、だんだん名前を見る機会が減ってしまった。

限られた勝ちを取り合う競馬の世界ではよくあることだけれど、浦和のJBCであの大井の御神本に「みなさん、菜七子ちゃんが勝つのを見たかったと思うんですけど」と言わせた頃が懐かしい。

いつのまにか、目立たない騎手になってしまった。

 

なんだかね、前の職場で後に結婚した夫婦に先に子供が生まれて、「負けじゃないか」と俺を指してゲラゲラ笑った上司を思い出す。

大体の組織というのは失礼で不愉快なやつが出世するようにできているので、そいつもその後さらに出世を重ねて、周りは定年を待っているらしい。

でも俺が今村聖奈の初重賞制覇のニュースを見て、藤田菜七子を思い出したのはクソ上司の発想に近い。

「それに引き換え」という誰も幸せにしない思考の流れだ。

 

ここまで書いて、藤田菜七子もコパノキッキングでカペラSを勝っているのを思い出した。

藤田菜七子は今村聖奈に負けていない。

クソ上司や俺のような、比較したがる人間からなにを言われても負けず、しなやかに騎手生活を続けてほしい。

毎週競馬を見られる生活をしていた時代、新潟のダートで何度も軸にして三連単を獲らせてもらっていた俺は、そう願う。

いや、ほんとに何度も獲らせてもらったんだよ、嘘じゃないよ、ほんとに。

 

以上