冬から春にかけて4ヶ月間コタツから出る気がなくなるような、そんな山梨の山奥から東京に出て「社会人」になったのが22歳の春だった。
まあ、よくいじめられましたよ。
いじめられた理由は今になるとよくわかる。
俺が悪かったなんて甘いことは絶対に言わん。
あいつらは人の形をしているだけで、中身は◯◯◯◯。
それになにしろ不景気で、そんなタイミングで社会に出てくる若者には、世の中全般シバキ体質だったんだよね。
「お前の代わりはいくらでもいる」がド正論として通用していた澱んだ時代。
「生きていたけりゃ死ぬまで働け」、いろいろ言われるけど当時より今のほうがよっぽどいい時代だと思う。
そんな中でたった一人俺の味方をしてくれた年上の女性がいて、随分と丁寧に仕事を教えてくれて、居場所を作ってくれて、おかげで長いこと働く羽目になってしまった。
「社会人とは」などと大上段に構えた訓戒など垂れることなく、「そういうことは続けていけばわかっていくことだから」とニコニコ笑っていて、なぜか夏でも冬でもソフトクリームを買ってもらった記憶がある。
いつもバニラとチョコのミックスで、両方楽しめるからいいでしょう、と。
頼れる先輩、率直に言えばいい女。
だったのだが、何か予感があったのかもしれないし、何かの理由でもう確信があったのかもしれない。
独身のまま39歳で亡くなってしまった。
最後の数年間は療養でほとんど外にも出ることができなかったと又聞きで伝えられたが、俺は冷たくて鈍い男なので、そのあたりの本当の事情は今をもってわかっていないし、わからないままでいいと思っている。
さらに俺は失礼な男でもあるので、先日その人の年齢だけは超えてしまったものだから、わざわざそのことを伝えるために、今日はお墓参りに行ってきた。
何度も言ってくれた「続けていけばわかっていくことだから」は、俺の3つくらいしかない生きる上でポリシーにエントリーしていて、今も心の中のちょっといいところにしまってある。
ありがとうございました。
これからはあなたが見られなかった景色を、大切にしながら毎日を生きていきます。
これがようやく、自立なのかな。
今日のサウナは永山の竹取の湯。
会員証があれば誕生月は約半額で入ることができる。
三連休の中日で賑やかだったが、ここは賑やかなのが好ましい。
次は息子と一緒に来たらいいね。