最寄りは山手線大塚駅、週末にだけ姿を現わす幻のようなサウナ。
それがサウナ玉泉。
ドラクエ3のテドン?を思い出した。
今はもうこの世のものではなくなった住民たちが、夜にだけ現れる村。
「テドンの村へ ようこそ」
このサウナもどうも、サウナを愛した人たちの情念だけでこの短い営業時間、開かれているように見えるだけではないのか。
自分はこれから、異世界へ足を踏み出そうとしているのではないか。
「サウナ玉泉へ ようこそ」
平日は閉め切りになっているであろう鉄格子。
初めてのサウナって、階段を上がっていくのが怖い感覚がある。
二本松のバイパスサウナ、高知の高砂湯もそうだった。
入り口。
盗賊の鍵も魔法の鍵も、もちろん最後の鍵も要らないしアバカムを唱える必要もない。
サウナ玉泉、1300円。
時間単位の細々とした料金設定なんぞここには存在しない。
2月なのに短パンのお兄さんから受け取った入浴セット一式。
ガウンは別料金とのこと。
いや、あのね、もう彫り物の入った方しかいらっしゃらないんですよ。
しかも皆さん顔なじみでいかにもその世界だなあ、と思わせる挨拶の交わし方。
会話の内容もまた、ここに書いたらはてなブログから予告無しで削除されるようなもの。
ここは実質常連さんたちのプライベートサウナなんだな、と思った。
サウナはあくまで地元の人たちのもの、ここでの自分は闖入者の立場。
ここは法治国家、なはず。
大丈夫大丈夫。
大丈夫。
サウナ室にはテレビも時計も無い。
静かで湿度の高い104℃、発汗最高。
いくぶん冷や汗が含まれているにしろ、サウナ前後の体重からすると過去最高の発汗量だったかもしれない。
こういうところに素晴らしいサウナがあるんだから、世の中は面白くて面倒くさい。
また来るしかないじゃないか、でも週末の午後しか営業してない。
水分補給はサービスドリンク、1杯目は無料。
テレビは当たり前のようにオリンピック。
でもみんな当たり前のように興味がない。
それでもチャンネルをテレ東、ウイニング競馬に変える勇気はなかった。
慣れれば居心地がいい。
休憩室の雰囲気は昭和の応接室。
スペースの使い方は贅沢なんだよね。
少なくとも隣のお客さんと肩がぶつかってトラブルになるようなことはない、はず。
ここで見るとリアリティのあるポスター。
でもこの面々、仕方がないけどかなり昔の写真。
バツ印のついたおふたり以外、今はどんな顔してどこで何してるんだろう。
サウナ玉泉、ありがとう。
本当にあるサウナなのか幻のサウナなのか、入ってみてもはっきりしないのはととのい過ぎたせいかもしれない。
ちなみに同じ建物の1階は銭湯の玉の湯。
こちらは週1回の木曜定休、幻の銭湯ではないらしい。