1日に3本しか列車がやってこない駅がある。
それは長門本山駅。
縁起でもないけど、線路の先の周防灘から一飲みでもされたら、JR西日本はこの路線をなかったことにすると思う。
高校生でも大学生でも元気なのは女子だけなので、女子大生と鉄道オタクで構成された車内になった。
スターフライヤーで10000円をちょっと超えるくらい。
朝の3時半に家を出て、山口宇部空港まで飛んできた。
宇部の街を歩いてみても遠くまで来た気はしない。
宇部線も両毛線みたいで、桐生や足利の雰囲気との違いがわからなかった。
好ましく臭いラーメンを出す「中華そば 一久」。
この地には宇部ラーメンなるジャンルがあるのだという。
替え玉は設定がなかった。
風景の先にいちいち煙突と白煙が見える点だけは北関東ではない。
宇部線の琴芝駅から歩いて来られるが、誰からも歩いて来た気配は感じなかった「フレスパランド カッタの湯」。
ここには風呂もサウナも水風呂もバッティングセンターもある。
サウナは高温、アロマ、塩の3種類があって、平日の昼間でも賑わっている。
宇部の人たちはサウナが好きらしい。
波の音、セミの声、ときどき飛行機のエンジン音。
どこに行っても「ずっと来てみたかった」と言えてしまうのだから俺は詐欺師だ。
本音を話しただけで詐欺になってしまうのだから、根っからの詐欺師で間違いない。
歩き回った汗でTシャツはすぐにビッタビタになる。
毎度こんな旅行をしていたら、そりゃあ妻も子もついてこない。
「お願いします、どうか一人で行ってきてください」だよ。
馬鹿のくせに賢そうなことを言うために腐心する毎日を送っていたら、誰とも口を利かなくていい日が至高になった。
来月になるとまた年齢が増える。
結構な年数を生きてきたけれど、別にどうってことはなかったな。
以上