石鹸1個とタオル1枚歩いていれば、どこでも迷わず銭湯に飛び込めるんだぜ。
下関の霧島湯はサウナがない分、水風呂のありがたさがわかる銭湯だった。
駅前をぷらぷらと歩いているだけで思い出す、失ったはずの記憶たち。
初めての海外は関釜フェリーだった。
帰りに下関で一緒に降りた保育士のお姉さんと博多まで電車で一緒に移動した。
下関から博多までは案外遠くて、電車の中でお姉さんとたくさん話した。
子どもたちがかわいくて、しかし保護者との関係がしんどいと悲しそうだった。
博多に着くと俺はパフェを奢ってもらった。
お姉さんはいつのまにかニコニコしながら飲み物だけ頼んでいた。
明太子の看板の前で、ふたりで写真を撮った。
連絡先は交換しなかった。
そんなことがあった。
人生は後半戦、記憶は2周目。
泊まったのは下関ステーションホテル。
大層な名前の割にカプセルルームもあって貧乏人の思い出トラベルでは助かる。
俺が泊まったのは禁煙シングル、朝食付きで4900円だった。
先に進むよりずっとここに居たくなった。
下関の朝。
かつてこの街には「フリーダム」という名のサウナがあった。
そこで金田正一のようにデカくて元気なおじさんから韓国ビールを飲ませてもらったのもまた思い出。
あんまり楽しい話もしてあげられないのに、いつも読んでくれてありがとう。
以上