「ハンバーグくーん」
「はーい」
「えびフライちゃん」
「はーい」
「たまごやきさーん」
「はい」
(真珠まりこ『おべんとうバス』より)
子どもたちの大きなわがままに応える胆力も経済力もない分、だからこそ小さな希望はいくらでも叶えてあげたかった。
それでも寝る前に「『ぐりとぐら』を読んで」と言われるのはしんどかった。
ぐり、ぐら、ぐり、ぐら、ぐり、ぐら、ぐり、ぐら…
だって長いんだもん、『ぐりとぐら』は。
そんな時にありがたいのは『おべんとうバス』だった。
短く、キレよく、勢いで乗り切って、そのまんま眠りの世界へ。
集まってきたおかずたちが、弁当箱に勢揃いした瞬間に生命体ではなくなって、具材のひとつに過ぎなくなる無常さがいかにも絵本だった。
見つけた時、本当に声が出た!
まさかテーマがおせちになって続編が出ているとは。
対象年齢は2〜3歳。
うちはもう下の子でも6歳になってしまったけれど、懐かしくて、どうしても欲しくなってしまって、だからパパの本として買っちゃいましょうかね。
『おせちのみんなあつまって!』を。
だって、本当に欲しいものを買うのが、一番いい買い物なんだからさ。
以上