オリックス・バファローズの優勝

f:id:tsumetaimizuburo:20211027223002j:image

吉田正尚が骨折したのが10月2日だった。

そこから点が取れなくなった。

重苦しい試合が増えた。

彼がいればもっと楽に戦えたし、優勝のためにロッテの結果を待つ展開にもならなかっただろう。

でもいなくなってからの16試合こそが、今年のオリックスだったとも思う。

8勝6敗2引き分け。

正尚がいなければ19歳の紅林がタイムリーを打てばいいじゃないか、それでも足りなきゃベテラン安達がツーランスクイズを決めればいいじゃないか。

そうやってオリックスは戦ってきた。

 

残り3試合を見届けるぞと、早く帰ってテレビ観戦したのが20日

その日のオリックス楽天に敗れ、記事の見出しは「痛恨の逆転負け」だった。

俺が観ると駄目なのだ。

あと残り2試合、21日の西武戦は学校に行ってチラチラと経過だけを確認していた。

オリックスは勝った。

終戦、25日の楽天戦はロスコでサウナに入って過ごしていた。

オリックスはまた勝った。

今日はロッテの負けを祈って観戦するのもしのびなく、仕事をしてジムサウナに寄って学校に行く、よくある一日を意識して過ごした。

シーズンが佳境になるにつれて、大好きなプロ野球が観られなくなってしまう矛盾。

そしてロッテは敗れた。

オリックスの優勝が決まった。

そのことを知ったのは学校を出た帰り道だった。

オリックスが1996年(平8)以来、25年ぶりにパ・リーグの頂点に立った。25日にエース山本が楽天を完封してシーズン最終戦を終え、27日はライバルの2位ロッテの楽天との試合結果を京セラドーム大阪で待った。もう1敗もできない状況にいたロッテが楽天に敗れ、優勝が決まった。

(日刊スポーツ)

オリックスの優勝は25年ぶり、バファローズの優勝は20年ぶり。

大阪近鉄バファローズ」が最後に優勝したのは2001年で、俺はその年の開幕戦を東京ドームの2100円の内野席で、リクルートスーツを着て観戦していた。

(この時の開幕投手は「失踪の」門倉で、岩隈はまだペーペーだったんだぜ)

馬鹿にされて、軽んじられて、踏みつけられて、数合わせの時だけ便利に使われる。

近鉄からオリックスに代わっても、バファローズが負け続けた19年間は、そっくりそのまま俺の悪戦苦闘の社会人生活の歴史だった。

俺はオリックスが優勝したら泣くんじゃないかと思っていたけど、そんなことはなかった。

逆に笑った。

大笑いした。

だって今年のパ・リーグのチャンピオンはオリックス・バファローズなんだぜ。

去年は勝率.398で最下位だったオリックス・バファローズなんだぜ。

19年間一緒に歩んできたくせに、20年目に一歩先に出やがった。

ちくしょう、先にいい目を見やがって。

負けねえからな、俺もオリックス・バファローズに負けねえからな。

オリックス・バファローズに勝てたら、今度は俺がチャンピオンだ。

本当に、優勝がこんなに嬉しいものとは思わなかった。