◎コントレイル
○サリオス
▲サトノフラッグ
△アルジャンナ
△ワーケア
△ヴァルコス
昨年春、自らを「ハゲ」と自己紹介して文字通り明るく、この俺を今の部署に受け入れてくれたのは56歳の伊藤さんだった。
(本当に伊藤さんなので、どうにかしてこの記事を見つけてくれたら嬉しい)
伊藤さんは1985年の桜花賞馬、エルプスと木藤隆行のコンビが好きだったそうだ。
鮮やかに逃げ切ったエルプスの勝ちっぷりに、伊藤さんの明るさが重なる。
そしてエルプスとのコンビが唯一の晴れ舞台だった木藤の地味さが、事情があって出世を捨ててもコツコツと働き続けている伊藤さんの姿と重なる。
明日のダービー、伊藤さんは「強いんだからしょうがないよなあ」と人気のコントレイルを軸にして、しかし相手は人気薄のヴァルコスを選ぶという。
「相手が狂えば、という感じですか?」
と訊くと、
「やっぱツキのある人には乗りたいからな」
と言う。
伊藤さんは生まれてこの方ずっと神奈川県民だ。
大洋ホエールズではなくなっても、1998年の横浜ベイスターズの優勝には、前の奥さんとともにたいそう喜んだという。
馬主としての大魔神にも思い入れがあるのだろう。
「普段はさ、せこい馬券買ってんだからさ、ダービーくらいは好きな馬を買わなきゃ」
と、伊藤さんは土曜出勤の今日も笑っていた。
皐月賞で力及ばなかった馬が、ダービーで無念を晴らす。
2着だったサリオスがコントレイルを逆転できれば、美しいダービーには違いない。
ただこの春オーストラリアから、外にも出られず馬にも跨がれない2週間を受け入れてでも日本にやってきた新進気鋭のD.レーンが、全くロスなく騎乗してもサリオスは2着だった。
どうしてか大舞台での取りこぼしが目立ってしまう騎手が、一見チグハグな騎乗をしても先頭でゴールしたのがコントレイルだった。
コントレイルは強い。
コントレイルが強い。
東日本大震災があった2011年、雨の中のダービーを突き抜けたのがオルフェーヴルだった。
こんな年に、こんな年だからこそ、また歴史的名馬の誕生に期待したい。
◎コントレイル、このまま世界に翔んでいけ。
○サリオスは上記の見解で次点評価、▲サトノフラッグは色気を捨てた競馬ができればいい線だが逆転までは、△アルジャンナと△ワーケアはダービーでは無視できない内枠の馬、最後の△ヴァルコスは伊藤さんに敬意を表して。