作者が亡くなっても作品は残る。
それどころか作品はさらに続いていく。
当たり前のように受け入れられているけれど、俺はその仕組みがよくわかっていない。
飛行機でも、のぞみ号でもなく、ひかり号。
好ましく控えめな街を拾い上げるように停車してくれるのがひかり号。
こだま号の良さを理解できる境地には、まだ。
清水駅の近く、魚市場食堂で食べた「まぐろいっぱい丼」は税込1020円。
お姉さんが目の前で丼に漬けまぐろを乗せてくれて、好きなところで止めてくれというもの。
話のネタにはいい。
たくさん食べておいて勝手な話だが、刺身は腹一杯食べるより、刺身定食あたりの寸止め感のある量を楽しんだほうがいいなと思った。
美味かったよ。
どうして今日はここにいるのだろう。
仕事に行こうと家を出たはずなのに。
ビジネスホテルなのか、それともカプセルホテルなのか。
オーシャンにサウナがあることは間違いない。
特に用事はないけれど清水の街を歩く。
夏は昨日から始まった。
みなと祭りの前に、夏が来てくれてよかったね。
(株)清北土地さん、この土地を売ってください。
そしたら俺はこの街で新しい仕事、新しい家族、新しい友達、新しい車、新しい人生を手に入れるんだ。
これは実際に叶わなかった歴史の話。
しかし実際に起こらなかったことも歴史のうち。
こういう谷底から空を見上げるアングルが好き。
駅の正面から写真撮ろうと思ったらさあ、制服の女子中学生たちがガバッと足開いて並んで座ってんのよ。
神奈川で仕事してるはずの俺が、清水で捕まったら訳わかんないしさあ。
中学生たちには俺の姿が見えないのだろうか。
いないものとして扱われてるんだな。
男なら、清水から静岡までは静鉄で移動しろ。
新清水と入江岡の間にある橋はなかなかいいぞ。
撮影用に作ったとしか思えない、絵になる巴川橋梁。
こういう誘惑には負けない。
あの「世界の盗塁王 福本豊」の次の盗塁王だった大石大二郎は静岡県出身、息子の大石崇晴は今はA級1班で走っているらしい。
静岡駅からバスに乗って、そうだ、今日の俺は登呂遺跡を見に来たのだったと本来業務を思い出す。
こうして目的を果たす。
どうもありがとうございました。
今日の俺の仕事は、明日の俺が頑張って片付けてくれるはずだ。
一人くらい居たって居なくたって職場なんてまわる。
これだけは事実。
人の気配がないと、夏空の下でも寂しい。
そろそろ、遺跡の内部に潜入してみますか。
この遺跡にはやたら熱いサウナと滝が流れ落ちる水風呂があるらしい。
このかき氷もやっぱりいい水使ってるのかね?
平日の午後、空いていた。
俺も本来は働いているはずだった。
そんじゃまた。
このバスで、府中まで帰れますか?