家族旅行中に、はじめて甲子園で東北の高校が優勝したのを知った。
周囲もちょっとざわついていた。
熱海港と初島を結ぶフェリーの中で「仙台育英って優勝したことなかったの?」という会話を何回も聞いたし、妻もそう言っていた。
会員制、もしくは紹介制。
今回エクシブ初島に泊まれたのは、間違いなく妻の力だった。
リビングにカウンターキッチン、寝室が2つある我らが家族の部屋に「豪邸だ!豪邸だ!」と息子たちが喜んでいたのもまた、妻の力なのであった。
ちなみにここエクシブ初島はサウナからも水風呂からも水平線が見えた。
熱は少々弱めで、万人向けだった。
甲子園の話に戻るけど、高校球児は大人びて見えるので、「子ども」と表すと違和感がある。
しかし彼らは全員間違いなく俺の半分も生きていない。
2年前の春、真っ先に「高校生の野球大会なんて中止だろ」と口にする大人がたくさんいた。
野球嫌いがチャンスとばかりに襲い掛かってきた感もあったが、自粛となればまず抑圧の対象は子どもが絡む事柄が多かった。
子どもたちを押さえ込むことで、手っ取り早く自粛のポーズをとっているようにも思えた。
もう少し経つと、大人たちは子どもたちにこんな言葉を投げつける予感がある。
「子どもたちに選挙権がないのは、子どもたちの努力不足」
目の前にホールケーキがあります。
5人で分けて食べましょう。
今はいかにして正確に5等分するか、そのテクニックで「すごい!」と言われたくて、バズりたい時代に見える。
俺が子どもだった頃は、さっさと5つに切り分けて、一番大きな一切れは一番小さな子に渡していた。
振り返れば、子どもがまだまだ優しくしてもらえる時代だった。
熱海市のホームページによれば、初島小中学校に在籍しているのは小学生が7人、中学生が1人だけ。
3人いるという小学4年生は、きっと初島の黄金世代なんだろうな。