立川市の西国立駅

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はじめて来た銭湯を楽しんだあとの出口、今から10年先の俺を頭から踏んづけて10センチ縮めたくらいのおっちゃんから話しかけられる。

「ここは入れ墨いいのかね」

「いや、すいません、ちょっとわかんないんですけど」

「訊いてきてくれないかな」

おっちゃんはどうも現役ではなさそうだが、やんちゃをしていた時期があったのだろう。

それにしても、もう靴を履いてしまった俺をお遣いにして、中に戻って訊いてきてくれとは図々しいではないか。

「そこの受付で訊けば教えてもらえますよ」

と、さっきまで居た店内を指をさして俺は外に出た。

しばらくすると帰り道の背中からおっちゃんが「OKだってさ!ありがとう!」と大声で結果を教えてくれた。

 

あのおっちゃんは、入れ墨の入った者はそもそも建物内に入るのもダメではないかと、念を入れて俺に確認をお願いしてきたのだ。

つくづく俺は冷たくて、なんと察しが悪い男なんだろうと、帰りの南武線でうんざりした。
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最寄り駅は西国立でも、ここは立川の松見湯(そもそもどうしてか西国立駅自体が国立市ではなく立川市にある)。

松見湯は今月5日にリニューアルオープンした銭湯で、どこもかしこもピカピカで、脱衣所にある背の高い体重計だけが旧松見湯の名残りのようだった。

テレビもBGMもない、新しい白木の匂いがするサウナ室では、新品の光り輝く遠赤ストーブに見惚れていた。