遠くへ行きたい。
どこでもいいから遠くへ行きたい。
遠くへ行けるのは、天才だけだ。
(寺山修司『若き日の啄木』より)
そこそこ山奥までは来たけれど、朝出発して、朝到着して、朝のうちにテントサウナを開始できるくらいの距離。
汗を流す合間に休憩しながら、お互いに「うちの子の勉強が…」「男の子と女の子の双子とは…」「どうしてサウナピアに行けるんだ…」なんて話をしたりされたり、焼きそばやあんこが入ったホットサンドを食べたり喜んだり、そんな我々はとことん庶民であって、この日の参加者に天才はいなかった。
でもいいじゃないか、天才なんかいなくたって。
そもそも天才なんて存在するの?
いたところで、天才が天才として生きる必要なんてあるの?
プロ野球選手は確かにすごいけど、社業と野球を両立している社会人野球の選手だって立派なものだ(まともにやればこちらのほうが難易度は高いのではと思う)。
生活の合間に集まって、テントサウナを楽しんで、また生活に帰っていく庶民たち。
誰も言わないから俺が言ってやる。
庶民は偉い。