春休みのニューウイング

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「帰る時、一枚でいいから、やっとけよ」と父はチップのことをいう。

「ええ」

「今は、そんな事しないのよ」

「してるよう。気のきいた連中はちゃんとやってんだよ。百円でいいんだ。百円じゃねえや。千円か。ひでえ世の中生きてるな、お前は」

山田太一異人たちとの夏』より)

うちの小3の息子だって、消費税が10%でガリガリ君が70円の世の中を生きている。

薄給にあえぎ続ける親たちからのトリクルダウンなんぞもちろんあるわけもなく、コロナ禍まで重なって、俺から見ると「ひでえ世の中生きてるな」に見える。

元々いつの時代でも、親からすれば子どもは「ひでえ世の中」を生きているように見えるものなのかもしれないけれど。

しかしそんな世の中で、ニューウイングは小学生を550円で受け入れてくれるのですよ!

小学生とサウナ屋に行くのは面白いもの。

パパのロッカーが183番、隣の息子は185番。

「どうして184番はないの?」と訊かれ、こういう場所では死を連想させる4番は使わないのだと教えると、「そんなとこにこだわっても死ななくはならないのに」と言う。

(『府中白糸台日記』「小学生のニューウイング」より)

冬休み以来のニューウイング。

さすがに平日の午前は店内に余裕があって、あのボナサウナに息子と二人ぼっちになるシーンもあった。

しかし息子はもっとたくさん人がいて、一緒にテレビを観るほうが楽しいという。

共働きの家庭で、自分は学校に行くか、学童に行くか、ママと過ごすか、パパと過ごすか。

振り返れば、たった4人の家族でも「みんな一緒に」のシーンは少ないもの。

家でもテレビくらいは、家族全員で眺める時間を作りたいと思う。
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今年の桜は錦糸公園で。

4日後には小4、気が早いかもしれないが人格の基礎の部分は出来上がってきたように見える。

あとは学ぶものを学んで、経験を積んで、法に許される行為が増えれば、一端の人間の完成だ。

しかし今しばらくは、パパとの思い出作りに付き合ってほしい。