私がよくお世話になっている銭湯は、水風呂がまあ2人用、頑張って3人用のサイズなのです。
そこへ私が4人目の水風呂希望者としてサウナから出てきてしまうと、浸かっている3人が揃って目を瞑ったりするのですよ(笑)
ここは水風呂であって、中央線のロングシートではないので、寝ているふりにも無理があると思うのですが、そんな感じなのです。
柔らかい水質に1秒でも長く身を委ねたい気持ちは理解できます。
これこそが普段使いだ、日常の延長だ、そう言われたら確かにその通りで間違いありません。
我々が生きているのはそんな世界なのですから。
しかしこの夏、私が縁あってやってきたこの横浜市鶴見区平安町の平安湯では、そんなことはないのです。
ここの水風呂はタイルが茶色く変色している本物のナトリウム源泉で、要するに冷泉というやつらしいのです。
底にお尻をつけると、鼻のところまで水がきて、「鼻血がでたか!?」と勘違いするくらいには鉄の匂いがする水風呂です。
サイズはどうやっても1人用。
ところが交互浴のお客さんも、サウナから出てきたお客さんも、実に上手いタイミングで譲り合って渋滞は起こしません。
私がサウナから出た瞬間には、強面紳士がニヤッと笑って水風呂から立ち上がってくれました。
コロナ対策の、おそらくは各銭湯共通の貼り紙はしてあるのですが、大きく「黙浴」と書かれて貼り出されているわけでもありません。
それでも大声で喋るお客はおらず、浴室内の秩序はせいぜいヒソヒソ声と「ニヤッと」で保たれています。
そうそう異界の人が入ってこない銭湯であるのも確かでしょう。
それにしてもコミュニケーションというものは、喋ってなんぼだと思い込まされて生きてきましたが、極まれば言葉なんぞ不要なのかもしれません。
大切なのは想像力。
繰り返しますが、ここは横浜市鶴見区平安町の平安湯です。
サウナ室は丸太が横に使われているログハウス風の造りで、遠赤外線ストーブが唸りをあげ、おおよそ90℃をキープしています。
例のナトリウム源泉の水風呂は、25℃の水温計はまったくもって無視してよく、体感は18℃あたりでしょう。
シャンプー、ボディソープの備え付けはなし。
サウナ料金の設定もなく、入浴料の490円のみで利用可能です。
不定休なので、むしろそこに注意が必要かもしれません。
脱衣所にある牛乳瓶が突き刺さった背の低い自販機には、毎日牛乳屋さんが補充に来ているのでしょう。
平安湯の向かいには、ホルモン屋と平安町銭湯前食堂なる店があります。
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