いったいどう暮らしたらいいのかわからない

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 ワクチンを打ったのがよくなかった。

 

1回目は打った自覚すら薄く、2回目も微熱なのか日差しが強いのかくらいで、恵まれたものだった。

副反応には勝った。

だが自分には負けた。

 

いったいどう暮らしたらいいのかわからない。

 

俺は絶対に医療従事者ではないけれど、神奈川で、新型コロナウイルス感染者数の増加に連動してまずいことになる仕事に携わっていて、実際にまずいことになっている。

毎日暗澹たる思いになる現状と数字が目に入ってきても、空は青いし、サンマーメンは3分で出てくるし、闇営業の居酒屋には行列ができていて、横浜市長選の候補者は駅前で大声でカジノの話ばかりをしている。

すべてが現実なんだけれど、なにがなんだかもうわからない。

新生児の命すら守れないくせに(これは本当に聞いて苦しかった。悔しかった)、子どもたちにはパラリンピックを観て学べという。

 

ムチャクチャすぎるでしょう、なにこれ。

なにがなんだかわからない。

 

こういう時には「俺も死ぬんだから」と思うことで、「未来はない」と信じることで、その場しのぎの精神の安定につなげてきたのだけれど、ワクチンは2回打つと再度感染することはあっても、重症化の可能性は低いらしい。

余らせるわけにはいかないと聞かされ、人助けのつもりで打ったのに、そのせいでまたなにがなんだかわからない日が続いてしまうと思うと、俺はもううんざりだ。

いままでなんだかんだで生きてきた原動力が、本当に「死んだら解放される」でしかなかったことにもうんざりだ。

 

サウナに行くのもやめてしまった。

俺はいいよ、もうどうでも。

それでも俺を介して他の人に感染させる事態は嫌だ。

「テレワークやオフピーク通勤へのご協力をお願いします」と虚しい放送が流れる稲田堤の駅から、毎日南武線に乗って通勤していれば、それぞれの人にそれぞれの生活があることくらい理解しているのだ。

だから俺の楽しみは捨てた。

 

ここでやめたと書いたのだから「ユー鶴で見た」「境南浴場にいた」とか言うのもやめてくれ。

もし、実際に見ても言わんといてくれ。

それはきっと俺の生霊が汗をかきにいっているだけだ。

なにがなんだかわからない。

もう魂も制御できていない。