取材なんて受けたことがない、そして取材なんてしたこともない、だから取材なんてどんなものなのかもわからない。
取材と無縁の人生は、今日で終了した。
境南浴場で境南浴場をテーマにした取材を受けた。
ただの利用客3人が、インタビュアーの質問に知恵を絞って答えていく流れ。
そう、本当に知恵を絞って答えていた。
普段から境南浴場の一番いいところは?なんて、わざわざ意識しながら通ってはこなかったのだよ。
だから案外難しい。
男なんてだいたい、愛情を表す語彙に乏しい生き物なのだから。
この世で一番みじかい愛の詩は「愛」と一字書くだけです。この世で一番ながい愛の詩は同じ字を百万回書くことです。書き終わらないうちに年老いてしまったとしてもそれは詩のせいじゃありません。人生はいつでも詩より少しみじかいのですから。
(寺山修司)
一時期サウナを巡るメディアで流行った「偏愛」とは違うんだよな。
あれは主体が自分にあって、自分の中の偏りの状態を表したものだから。
こちらは主体はどこまでも相手であって、そこに愛情を持って自分が出張する感覚。
ストーカーか?
そうかもしれないよ。
家にも風呂はあるのに、こんなにしょっちゅう通っているんだからね。
取材してもらった中身は、9月には世に出るらしい。