(撮影許可済み)
水風呂がさ、滑らかというか柔らかいというか優しいというか澄んでいるというかさ、そんな感じ。
語彙が無くてごめんね。
水温は18℃でキンキンではないが、長く入っていられるタイプだと解釈する。
ここ石岡市は水道水にも地下水が使われている土地柄なのだという。
かつてはそんな水道行政をしている自治体がたくさんあったのだけれど、地盤沈下などの問題もあって今はかなり減少してしまった。
今でも水道水に地下水を使えている土地は、単純に水に恵まれていると考えていい。
(これも撮影許可済み)
サウナはガスの遠赤外線ストーブだが、よくあるパチパチパチ……な音はしない。
テレビの音だけが響いている明るいサウナ室で、リモコンは開放されているので消してしまうこともできる。
体感温度がかなり高めの90℃台で中湿、本能に従うと12分計1周入るのは難しい。
(これまた撮影許可済み)
平日昼の訪問、浴室には誰もおらずスタッフの方に写真を撮ってもいいか訊いてみたら、
「いいよ、いいよ、たくさん撮ってやってよ。残してやってよ」
と笑顔で答えてくれる。
ここ石岡健康センターは、2020年8月30日をもって閉店が決まっている。
立派な舞台付きの大広間。
施設はだいぶくたびれていているが、オープンしたのは2007年らしくそれほど遠い過去の話でもない。
おそらくは前身の運営から引き継いで、今の石岡健康センターになったのだろう。
ならばもう一度、この地とサウナを愛する篤志家に救ってはもらえないだろうか。
イベントの案内は6月で時が止まっていた。
駐車場に目立つ軽トラ、お客さんたちは実によく日に焼けている。
お盆には帰省した人たちがここに最後のお別れにやってくるのかなとも思ったが、社会の情勢はそれを許してくれそうにない。
そもそもあれさえなければ、閉店する必要すらなかったのかもしれない。
どちらからも歩けば約1時間かかるので、最寄りと表現するには違和感もある。
その常磐線は今年の春、9年ぶりに全線が繋がった。
あの時と比べれば今はインフラが破壊されたわけでもない。
あれさえ克服できれば、人間たちはまだまだやれる。
帰り道は猛暑の中を歩いた。
あえて歩いてやった。
相手が人でも、暑さでも、ウイルスでも、戦う姿勢が大事。
石岡健康センターの帰り道に、俺はおそらく生まれてはじめて、家の裏に繋がれて飼われているヤギの姿を見た。
北海道のライフラインであるセイコーマートが、茨城県には何軒かある。
これもまた今日のお目当てだった。
どちらかに決める必要もないと俺は北海道クリーミーソフトとメロンソフトを1本ずつ買い、両手に持ち、交互に舐めながら残る45分の道のりを歩いたのだった。
終わり。
【石岡健康センター】