ナルシソ・エルビラ(近鉄)の話

2000年に近鉄ノーヒットノーランを達成したナルシソ・エルビラ元投手が28日、メキシコのデラクルス州メデシンで武装集団から銃撃を受け、殺害された。52歳だった。20歳の息子グスタホさんも死去。負傷した同元投手の兄弟、アブラハムさんは病院に搬送された。メキシコの複数メディアが報じた。(中日スポーツ) 

頼りにならない投手だったなあ、エルビラ。

開幕から打たれっぱなしで、それでもせっかく獲ってきた外国人選手だからなのか、ずっとマウンドに上がり続けて、6月20日の西武戦で突然ノーヒットノーランを達成。

梨田監督は「いやあ、いつか彼はやってくれると思っていたよ」とコメントして、最下位だったのに随分と鷹揚なチームだったんだ、近鉄バファローズは。

そしてまさか翌年に優勝するとはファンでも想像できなかった。

なにせ開幕投手が門倉だったんだぜ。

同元投手は15年6月も同州で誘拐され、約3週間幽閉された後、対誘拐組織部隊に救出され、6人が逮捕された。当時、同元投手は「米国や日本、メキシコで野球をして大金を稼いだと思われ、狙われたようだ」と語っていた。

脱線した、ここはエルビラの話。

プロ野球選手としてプレーして、そのことによって命を狙われる。

自分、息子までもが殺されてしまう。

エルビラにとって、野球とはなんだったのだろう。

少なくとも生きるための術とはなり得なかったことが、人生の最後で証明されてしまった。

 

特定の時代に生活と平行して見続けて、感情移入した対象が失われてしまった時の喪失感は大きい。

梨田監督だけじゃない、俺だっていつかはやってくれる信じて、防御率がインフレしたエルビラの投球を見ていたんだよ。

さらばエルビラ、さらば6月20日の名投手。