もうここには誰もいないのに、ここにいない誰かへの当てつけのように煌々とつけていた灯りを消して、空調が止まっていることも確認して、セキュリティをセットして、事務室を出た。
2019年のお仕事、終了。
よく働いたような、まったく働かなかったような、そんな一年間だった。
前者は去年よりはるかに立川マシマシのマシライスだった拘束時間に基づいているし、後者は結局何も達成できなかった無能感に由来している。
世の中は有能な人間で溢れているし、SNSを見た限りではそうであると言い切れるし、彼ら彼女らは実に楽しそうに毎日を生きている。
その光の陰で、俺は無能だから働いている。
いいから有能はさっさと無能を駆逐しろ。
AIでもロボットでも使って、さっさと俺のひとりくらいホームレスになるまで追い込め。
こちらにだってもう、駆逐される覚悟はできているのだから。
「日本じゅうがきみのレベルに落ちたら、この世の終わりだぞ」
トーキョート・ネリマブロック・ススキガハラストリートからやってきた、かの有名なドラえもんさんの名言だ。
有能の皆さん、実は俺より無能なんじゃないか。
てめえが運良く生きてる毎日の土台に、漠然と「有能」を根拠に置いて安心してるだけだろ。
俺は運悪く消されてしまった、本物の有能の存在もたくさん見てきた。
だから死ぬまでこの手の呪詛を吐き続けてやる。
ともあれ、俺は小泉進次郎が嫌いでたまらない。
以上