昭和54年からの営業、俺と同い年のサウナが老朽化のため閉店を決めた。
共感できなくもない話だが、閉店後は建物ごと解体して新しい商業施設を建てるらしいので、これはもう大往生だろう。
天寿を全うした、ということ。
外から見たら、貫禄はあるけれど古さも感じる。
俺がここまで「寂しいものだ」とか書かないのは、スパニュージャパンにやってきたのがこの日初めてだったから。
閉店の報を聞いて興味を持って訪れることに、どことなく後ろめたさもあった。
これはまさに鉄道マニアの分類における葬式鉄の行動だ。
しかしなくなると聞けば行ってみたい気持ちは抑えられない。
所定の入館料を払ってサウナに入るだけのことだ。
余計なことは考えないようにして、京浜東北線で関内までやってきた。
入ってみればピカピカである。
俺の歳と同じ営業歴、さすがに改修改装は数え切れないくらいやっていると思うが、冗談抜きで今日開店ですと言われても驚かないレベルの清潔感。
浴槽もサウナも大きく、旭川のスパプラトーの雰囲気を思い出した。
広い80℃超のサウナの中に、さらに90℃超のサウナがあるという造り。
水風呂は17℃設定というプレートがあって、水温計は24℃を指していて、入ってみるとやっぱり17℃だなあというところには閉店間際の感覚も感じた。
今さら水温計取り替えたって、ねえ。
大トンテキ定食とビール。
俺はなぜ今までここに来なかったのか?
しかしとにかく一度来ることができたわけだ。
よかった。
閉店は8月31日。
スパニュージャパン、最後の夏。
【スパニュージャパン】
http://spa-newjapan-yokohama.jp
スパニュージャパンを味わった後は、バスで横浜市電保存館へ。
終わりゆく施設から、終わったものを展示する施設へ。
俺が生まれるより、スパニュージャパンが営業開始するより前の、昭和47年に全廃されてしまった。
充実したときれいに評するより、執念が感じられると言ったほうが正しいレベルでズラッと並んだ展示車両。
地下鉄も市営でやっているし、横浜市は鉄道事業へのこだわりが強いのだろうか。
夢を買いましょう。