ポツンと見える「ゆ」の文字が、風呂に入る前から心を温かくしてくれる。
調布市の神代湯。
ここはサウナ代込みだと700円、バスタオル付き。
サウナの中のテレビでは、ずっと稀勢の里横綱昇進!のニュースが流れていた。
初場所は昨日が千秋楽だったのに、今日になっても相撲の映像ばかりで、
「今日が16日目みたいだな」
とサウナで隣の爺さんから話しかけられて、うまいこと言うもんだなと思った。
そう思っているところで松方弘樹が亡くなったというニュースに変わって、
「松方弘樹ってまだ若いんじゃなかったか?50代じゃないか?」
と爺さん。
若く見える人だったにしろ、あのキャリアで50代はないでしょ。
多分爺さんと同じくらいですよ、と軽く勝負を賭けた一言を返そうとした時には、爺さんはサウナを出て水風呂に向かっていた。
大きな風呂と熱々サウナと冷たい水風呂の温浴施設もいいけれど、生活感のある街の銭湯も好き。
いつか稀勢の里が引退する時、今日の神代湯のサウナでのやりとりを思い出すだろう。
記憶とは、小さなやりとりと光景の積み重ね。