夕方5時10分から6時10分までの間、相模原市中央区では85ミリの雨が降ったという。
時間の刻みが半端な気もするが、要は1時間あたりの降水量が一番多かったところをピックアップしたのだろう。
5時10分から6時10分。
この時間俺は相模原にいて、しかも駅に向かって歩いていた。
粒の大きい雨が、空からドスンと落ちてくる。
本格派投手が投げ下ろすストレートのような雨。
風はない。
だから、傘さえあれば案外雨には当たらなかった。
問題は足元だ。
道路は冠水して、川になっていた。
歩道が高くなっている道を選んで進むしかなかった。
そうなると大雨の中、遠回りをして駅に向かうという矛盾した行動をとることになる。
高い歩道が途切れ、どうしても冠水した道路を渡らなければならなくなった。
諦めて、足を突っ込んだ。
にわかに登場した道路川の水は、ぬるかった。
もう、どうでもよくなった。
駅に着いたら、改札から出てきた連中が俺をうんざりした顔で見た。
1時間85ミリの雨はヤバかった。