しばらくして、彼から「音楽をやりに東京に行く」と電話があった。彼は「東京の真ん中にある立川ってとこに住む」と言った。東京の真ん中に住むなんて凄いと思った。
又吉直樹『東京百景』より
梅の湯があり、高砂湯もある。
しかし芥川賞作家の友人いわく東京の真ん中である割には、サウナ屋に恵まれていなかった立川。
そこへ2月25日、緊急事態宣言の解除なんぞ待てるかとばかりにオープンしたミナミ立川店。
かつてこの地にあったミナミのブランドが復活!
ということらしいが、俺は過去のミナミを覚えていない。
それにこの店はどこもピカピカで、新品そのものだ。
今はグランドオープン価格ということで、日中は1500円+税で利用可能。
朝9時に入店したのだが、「利用は24時までです」とダイナミックな時間設定に笑ってしまった。
一度ビルに入って、スリッパに履き替えて、再びビルを出て管理人室のような受付で料金を支払うチグハグな動線にも笑ってしまった。
入ったら30秒で口の中まで渇いてしまう、超カラカラ設定のサウナにまたまた笑ってしまった。
サウナストーブを覗き込むと、おにぎり大のストーンの上で、2人のトントゥも笑っていた。
新型コロナが去れば遠慮なく20人超入れるサウナ室は100℃、バイブラもなく多摩川競艇場のごとき静水面の水風呂は18℃だった。
今日は15時間の滞在を許されたわけだが、これだけカラカラだと何セットもするのは無理。
周囲を見る限り、サウナ好きはその度合いを深めれば深めるほどカラカラ設定を求めていくように見えるが、確かに身体が熱くなるまでの仕上がりは早い。
反面、初心者向けのサウナを謳う類はどれもフィンランドの名を冠したりしつつ、湿度重視の設定で無理なく入れることをアピールしていて、それはそれで合理的なやり方なんだなとも思った。
所沢のベッド&スパに似た館内着。
これとは全く違う黄色いガウンを着たお客さんもいて、スタッフさんに聞くと今は入り混じった状態らしい。
ロッカーを開けてそこに入っているのは館内着かガウンか、それは運次第。
正直ガウンは生地が薄く、あれを着て男女共用の休憩スペースで休むのはしんどい。
四十路男の俺でもそう思うのだから、女性はなおのことだろう。
カラカラサウナ4セットを終えてぐったりしている俺の横で、作業着姿のおじさんが「もうオープンしてるんですか?」なんて話していた。
まだまだ業者が出入りしつつ、改良に改良を重ねて、これから良くなっていくサウナ屋に違いない。
なにせ先週オープンしたばかりなのだから。
持ち時間を12時間残して、正午で退店(これ以上汗かくのは無理!)。
昼メシは立川駅、東京の真ん中で名物おでんそばを食らってやった。