失われた春とモズアスコット13着

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失ってからはじめて気づく自分の感情。
なんて書き出したところで、俺は冴えないままで四十を迎えた完成形の欠陥品なので、どうやっても美しい話にはならない。
ただこうして今年の春が消滅すると、思いのほか淋しいものだなと、そして悔しいものだなと、思う。
それだけのことだ。
次に春がくるのは順当なら来年だが、それもわからない。
もはや言語の通じぬ配偶者に振り回されているように見える、それでも愛があるというなら大したものだけれど、とにかく疲れた顔の内閣総理大臣は「長期戦になる」と話していた。
次の春は再来年かもしれないし、再々来年かもしれない。
そんなに長く待てないよ。
俺だってコロナウイルスに殺されちゃうかもしれないし。

 

今日は働いていた。
自粛要請が出ていてかつ雪まで降っている、そんな日曜日に働いていた。
俺を指してどうして働くのかわからないという人がいて、負け組だと笑う人がいる。
もうどうでもいいよ。
理解なんかされたくないし、笑いたければ死ぬまで笑ってろ。
お前らがつまらない顔で狭い家に閉じこもり続ける自粛生活、それだって支える人がいないと成立しないんだぜ。
根拠は当てにならないことでは定評のあるネット世論でしかないのだけれど、どうも風向きはロックダウン上等で、なんにせよ外出者は非国民の方向へ明確に傾いているように見える。
ところが実際は、
「お前らはサボりすぎだ」
「俺たちのために普段どおり働け」
「ただし責任はすべてお前らが取れ」
と、匿名の人生の先輩から何度もお電話をいただいてしまう世界が繰り広げられているのが現実なんですよ。
アドレナリンに恵まれすぎた人たちを中心に世の中はいら立ちを増していて、至るところで優しい人が踏みつけられているのだろうと思う。
コロナウイルスや経済より先に、もう殺されてしまった人はいるだろう。
そして死体は「仕方がない」の一言で流されていく。

 

高松宮記念 理想と現実
◎モズアスコット 13着
〇タワーオブロンドン 12着
▲ダイアトニック 3着
△グランアレグリア 2着
△ダノンスマッシュ 10着
△ノームコア 15着

もう充分じゃないですか、こうして競馬を開催していただけるだけでも、ねえ。