ニューウイングに行く時は、いつだって支配人と勝負する心算で足を運んでいる。
とにかく負けたくない相手なのだ。
今日は俺を見つけると、5階に上がって横になれという。
とりあえず勝負の序盤は様子見だと、言われるがままに毛布を掛けて横になったら、彼はテレビのチャンネルをNHKに合わせた。
ここでゴロゴロして、昼のニュースを見ていると平日なのに……の感があっていいだろうと言う。
今日分かったのは、彼が猫好きであることくらいだった。
2時間の滞在中にサウナ→水風呂→休憩を5セット、その間にサーロインステーキを食った。
思ったよりもsuicaに残額があったので、儲けた気分になってサーロインステーキを選んだ。
この発想では金が貯まらないが、そんなことはもう分かっている。
今は大抵の店で電子マネーが使える時代だが、電子マネーといえばドン・マネーの連想くらいしか、疲れているので出てこない。
オリックスは大物外国人選手を獲ったが、どんな住まいを用意したのだろうか。
絶対にゴキブリが出ない家を、近鉄バファローズファンはドン・マネーの悲劇を忘れていない。
夕方からは子どもの習い事にお付き合い。
途中、今日がリニューアルオープンの日だった府中駅近くの桜湯に入った。
お店の人がニコニコしていて、お客さんもニコニコしている。
おそらく俺もニコニコしていたのだろう。
対人の面倒を避けるためのバリアとしての笑顔を除けば、人はニコニコしているほうがいいに決まっている。
府中だから桜、さくら、サクラ。
浅田次郎の「買い物して、メシ食って、サウナ入って、一日を全部さくらグループの店過ごしていた」というエッセイを読んだことがある。
今もさくらコマースは存在するが、世の流れもあってパチンコ店は減り、車返団地にあったスーパーも丸正に変わってしまった。
当時からサクラの冠で競走馬を持ち続けているが今はもう数は少なく、サクラアリュール(読んで字のごとくでゴールドアリュール産駒)とサクラユニヴァース(こちらもごとくでネオユニヴァース産駒)が2勝クラスで入着しているくらいだ。
先日逝ったサクラローレルのような大物が出る雰囲気は、もうない。
そしてさくらグループのサウナはどこにあったのだろうという疑問は残り、桜湯はもちろんさくらグループの銭湯ではない。