青い空、でっかいサウナ。
小駅だが、駅を出るといきなり風俗店があって実に良い雰囲気だ。
こういう佇まいの駅前は、少なくとも東京近郊からは失われてしまったように思える。
オリンピックに向けて、またくだらない浄化が進められていくのだろう。
不浄の人間はどう生きていけばいいのだろう。
今は確定した平成末期。
フリータイム1000円、0時以降の深夜利用はプラス1000円のシンプルな料金体系。
入ってみると正直値段なりだ。
最初にはっきり言っておくと、ここは明るさに満たされた都市型サウナではない。
お客さんはポツンポツン、くたびれた男たちと一緒にくたびれたサウナ施設。
『サウナイキタイ』のレビューから断片的に、勝手に引用する。
「いつも貸切状態なのがGOOD」
「サウナジャンボに行くと、いつも同じ人がソファーで寝ていて実家か? と思う位に馴染んでる人や…」
「広々とした脱衣室、食堂にある古びたショーケース、至る所に時代を感じさせる」
「ニューグランド閉店後、名古屋に残る最後の昭和サウナ」
ここは男たちの魂の置き場。
毎日魂を取り戻しにくる男もいれば、置きっ放しでどこかに消えてしまった男もいるのだろう。
それでもいつか、帰ってくる。
男なんてそんなものだ。
だからサウナジャンボにはずっとサウナジャンボで居続けていてほしい。
結局最後は生き残った者の勝ちなのだ。
サウナは100℃で発汗も悪くない。
パノラマな窓が付いているのがいかにも名古屋らしくて嬉しくなる。
水風呂は20℃を越えているが、これはもうわかっていたことなので、体を水風呂に合わせてゆっくりと入る。
檜風呂があり庭園風に飾られたスペースもある浴室は、どことなくレインボー新小岩を連想させる。
レインボー新小岩が枯れるとサウナジャンボになるということか。
どっちも長いこと生き残れ。
遠慮なく生き残れ。
「サウナビュッフェ」には名入りのボトルたちが案外たくさん並んでいたから、夜になると賑わうのかもしれないし、それならばあの駅前の様子にも合点がいく。
せっかくの名古屋なのだからと味噌カツを選んだら「お兄さんわかってるね」と、どこか影のあるマスターがニヤリと笑った。
【サウナジャンボ】