静かな東京を歩くのは大好きなんだけど、神楽坂に差し掛かると急に賑やかになって戸惑う。
考えてみれば賑やかで当然の場所、だけどこのあたりを想定できてないのがエセ東京人。
都心に来ると土地勘が薄い。
東京攻略、一生もののテーマだな。
原作に忠実に再現してみたら、可愛いげに欠けてしまったコボちゃん像。
府中にも明らかに植田まさしタッチで描かれた、雀荘の看板があったな。
植田まさしの絵は、子どもよりおじさんに訴えかけるものがある。
結局は。
こうして夕方の新宿を散歩していると、銭湯の裏口に行き当たる。
ここは正々堂々乗り込みたいから、正面にまわり込む。
新宿区改代町2、竹の湯。
銭湯の料金は460円、サウナ料金だと900円。
大胆だな、と思ったが入ってみて理解した。
ここのサウナ、確かに金取る価値あるわ。
サウナ室、室温計は126℃。
室温計はサウナストーブの前、そして高めの位置。
高い温度が計測されそうな場所に掛かっているのは確かだが、それにしても熱い。
常連さんは2リットルのペットボトルを持ち込んで、ガバガバ水分補給しながら汗を流している。
雑誌持ち込み可で、置かれていた週刊文春を持って入ったが、相撲協会の闇について読み終わる前に表紙が熱くて持っていられなくなった。
気づくと手首にはめていたロッカーキーが、火傷しそうな勢いで熱い。
熱いサウナは好みだが、熱ければいいというものでもないと思ってきた。
しかしここまで突き抜けて熱ければ、これはもう全面降伏。
サウナについてやれセッティングが、セルフロウリュが、などと思いを巡らせてきた時間がなんだか遠く思えてきた。
そろそろ熱さにやられてきたのかもしれない。
好みのサウナを探しながらいろいろな土地を回ってきたが、新宿にこんな熱いサウナがあるとは。
物事はこんなものなのかと、虚を突かれた思いがした。
ダイヤモンドは足元にも転がっていたりするものなのだと、つくづく。
今日からよく足元を見ながら歩こうと思う。
水風呂も太い配管からドバドバと水が流れていて、おそらく15℃くらいの爽快感満点。
サウナ料金不要の「森林浴」と書かれたスチームサウナ、電気風呂もあって銭湯としても充実した内容。
本当に、こんな銭湯が新宿にあるなんて…
世界は広いのか狭いのか分からなくなってきた。
いよいよ本格的に熱さにやられてきたか、と思ったらしばらく独占状態でサウナ室に出入りがなかったせいか、室温計は134℃を示していた。
こりゃ、やられたわ。
【竹の湯】