福島の小学校、運動会に「ダービー」という種目があるのだという。
ただの駆けっこではなく、馬の像を掲げながら走り、かつ着順を争うというもの。
意義の分かりにくい内容を分かりやすいルールで争う、いかにも運動会らしい競技。
相馬野馬追だって福島だ。
競馬好きの方便として使われがちな「馬事文化」という言葉だが、福島にはそれがある。
JRAの競馬場は全国に10ヶ所あるが、福島競馬場は単なる賭場ではないと断言できる。
サイズは小さくて大レースの開催もないけれど、競馬を愛し、競馬に愛されている競馬場。
福島競馬場に来たのは初めてではない。
以前、あの震災、東日本大震災の2年ほど後に来たことがある。
当時の福島競馬場はまだ震災後の再開から間もなくて、入り口に騎手のメッセージなどが飾られていたもののまだ急ごしらえの感があった。
今では当時のことも含めて、立派なメモリアルコーナーに展示されている。
競馬担当記者の、震災の記憶。
こちらは名物実況アナの、福島競馬への想い。
どちらも高橋さん。
高橋さんは全国的に多い気がするが、福島では特に多いと福島高校出身の友人が言ってたな。
1クラスに5人くらいは高橋さんがいたと。
そんでもってその友人もまた高橋なわけで。
福島競馬場、思い出のレースといえば「ターボエンジン全開!」ツインターボと中舘英二の七夕賞。
後続を突き放して逃げ切って、次走オールカマーも逃げ切って、天皇賞秋では最下位に沈んだ。
小柄な馬だったから、斤量が増えるとしんどかったんだろうな。
直線が短くて先行有利。
だけどどれが先行するのか、どれなら先行できるのか、さっぱり読めないメンバーが集まるから毎度難解な福島競馬。
山口瞳の『草競馬流浪記』の中に、嘘か真か福島競馬場の馬券売り場で払い戻しが多過ぎて現金が足りなくなってしまったという話が出てくる。
福島の人は馬券が上手いということなのだが、こういう難しいレースで長年鍛えられていれば確かに、とも思える。
この日は福島に乗りに来ていた岩田康誠。
3日開催の中日、京都はお休みで東京と福島のみの変則開催だったから騎手の割り振りもまた変則。
馬券については、観戦料として納得がいくレベルでまあ、どうでもいいじゃないですか。
今回は福島競馬場に来られたことが嬉しかったんだからそれで充分。
そう、充分。
充分。
最後に福島競馬場の名物、だと勝手に思っているトンカツそば。
トンカツ食って、馬券に負けた。
以上!